ユーザーの問い合わせに
意図予測検索で対応

 ユーザーに親切なFAQは顧客満足や顧客体験の質を高め、カスタマーサポートセンターの運用改善につながる。そのためのソリューションとして、Notaは独自の技術を基に開発した革新的な検索型FAQシステム「Helpfeel」(ヘルプフィール)を提供している。同社CEOの洛西一周氏はこう説明する。

「サイトで調べても分からない」顧客を一瞬で自己解決に導く、FAQシステムの威力Nota
洛西一周
代表取締役 CEO

「当社は、エンジニアが中心となって設立したスタートアップです。Helpfeelは、当社CTOの増井俊之(慶應義塾大学教授)が論文で発表した技術を基に生まれました。別のサービスを利用しているお客様から『毎年繁忙期になると、急にカスタマーサポートセンターの問い合わせが増えて困っている』という話を聞いて、この技術を使って課題解決できるのではないかと考えたのがきっかけです」

 図1に示したように、FAQのユーザー解決率の低さの要因は、「コンテンツ数の不足」「検索ヒット率の低さ」「(ユーザーの課題に対する)改善力の低さ」にある。Helpfeelはそれぞれの要因にアプローチして、ユーザー解決率の向上をサポートする。

図1 FAQページをトータルで改善する

「サイトで調べても分からない」顧客を一瞬で自己解決に導く、FAQシステムの威力意図予測検索などの技術と併せて、「人によるサポート」も提供される。Helpfeelのカスタマイズなどを行うWebディレクター、辞書作成などに当たるテクニカルライター、カスタマーサクセスなどの担当者がトータルで改善を支援する

「まず、お客様のビジネスに即して、あらゆる問い合わせに対応するための辞書を作成します。届出印の紛失という、銀行への問い合わせを例に説明しましょう。ユーザーは『印鑑をなくした』とか『ハンコが見当たらない』などさまざまな言葉を使います。Helpfeelは想定される言い回しを網羅する辞書を作成して、ユーザーが何を知りたいのか理解し、適切な解答ページに導くことができます」(洛西氏)

 ユーザーがFAQページで「ハンコ」や「印鑑」と入力すると、Helpfeelは想定される質問を予測していくつかの候補を提示。該当する質問をクリックすると、解答ページにつながる。この独自技術は「意図予測検索」と呼ばれる。曖昧な疑問や悩みを丁寧かつ的確に汲み取ることで、98%という高いヒット率を実現。また、音声入力にも対応している。瞬時に意図予測検索を行う応答スピードの速さもHelpfeelの特長だ。

 Helpfeelの辞書は顧客ごとに作成され、最適化されたものが提供される。また、解答ページのコンテンツ拡充や改善なども同社がサポート。これにより、上記の3要因を改善して、ユーザー解決率を高める。

「お客様からの評価が高いのは、当社側でさまざまな改善施策を講じる点です。改善サイクルを当社が担うという形です。こうしたサポートも標準で提供することで、多忙な現場をサポートしたいと考えています」と洛西氏は言う。

 例えば、質問の候補が足りなければ新たにつくったり、解答の説明が不十分なら改善を加えたりする。Webサイト上でのユーザーの振る舞いを分析することで、適切な改善策を講じることができる。Helpfeelは進化するFAQシステムともいえるだろう。