世界が必要とする
光触媒を作る
光触媒技術が利用できるのは、こうした空気の浄化だけではない。空気の次にカルテックが取り組んでいるのが水の浄化だ。リサイクルされたガラス材料に光触媒をコーティング、それを水中に投入して水の浄化を行う実験を行っている。例えば植物工場の水耕栽培や、陸上養殖の淡水の浄化、あるいは発展途上国の井戸水の浄化など、用途は限りなく広がる。かつて染井社長は、スリランカでLEDを農業に応用するプロジェクトに従事し、農薬による井戸水の汚染に直面した経験を持っている。“世界の飲み水を浄化したい”という思いは人一倍強いのだ。
さらに光触媒技術は、食の問題に貢献できる可能性もある。空気が浄化されて腐敗が進まないため、食物の鮮度が保たれ、食品ロスが改善される。
すでに静岡県のミカン農家で採用され、ミカンを常温のまま倉庫で長期保存する実証実験が行われている。
光触媒技術の可能性はまだある。光触媒技術を応用すると、水から水素を生成できるため、水素社会の実現に向けたエネルギー資源になる可能性もある。
「カルテックの技術は、世界の環境問題の解決に寄与できる技術だと自負しています。当社は製造業というより、唯一無二の光触媒を供給する会社になりたい。そのため現在、オープンイノベーションで材料の性能を上げる研究を行っています。将来は、世界が必要とする環境製品やシステムに私たちの光触媒技術が採用されることを目指しています」と語る染井社長。確かな技術を持つ同社の挑戦に注目したい。
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