小林洋行グループの小林洋行コミュニケーションズは、独自のSEO対策により集客力を高めるホームページ(HP)制作やWeb広告制作が中核業務の広告会社。コロナ禍で企業の多くがリアルな場面での営業だけでなく、ウェブ広告やマーケティングの強化、改革などが必須となり、同社のコンサル力を見込んだ顧客からの相談が増加、業務範囲が拡大していった。しかし、業務が拡大し、売り上げが増えるにつれて、現金払いという業界の独自の商習慣が業務に大きな負荷をかけ始めた。そこで同社は、アメリカン・エキスプレス企業間取引(BtoB)加盟店になることを決断、現金払いからカード決済に軸足を移した。

営業の負担となっていた入金確認と催促が
カード決済で一挙解決へ

 小林洋行コミュニケーションズは、コロナ禍にあっても順調に売り上げを伸ばしている。同社のWebコンサルティング事業部の金子嘉晃次長は、「お客さまが増え、売り上げが拡大することはありがたかったのですが」と前置きしてこう話す。

「売り上げが増えた分だけ、売掛金の入金確認の手間がかかるようになり、営業担当者に大きな負荷がかかるようになってしまいました。広告業界には、納品後に現金払い(銀行振り込み)するという独特の商慣習があるので、入金確認業務が必要になるからです」

 顧客の入金が遅れれば催促しなければならない。それは良好な関係を保ちたい営業担当としては胃が痛くなる仕事だ。

業界の慣習にとらわれない、ある企業のイノベーション。成約数も売り上げも激増した理由小林洋行コミュニケーションズ
Webコンサルティング事業部
金子嘉晃次長

 解決策を模索していた金子次長に、アメリカン・エキスプレスの法人営業担当が提案したのは、「企業間取引(BtoB)加盟店になる」というソリューションだ。

「そもそもは、アメリカン・エキスプレスの法人カードを保有している知人から個人カードを作らないかと提案されて、知人の会社を担当するアメリカン・エキスプレスの法人営業担当の方と会ったことが始まりです」

 金子次長は、ステータスの高いアメリカン・エキスプレスカードに興味を持っていたので、会って話を聞くうちに話題は同社のビジネスにまで広がり、企業間取引(BtoB)加盟店になって顧客の支払いをカード決済にすれば入金確認業務が不要になること、今後は企業間決済でもカード決済が支払い方法の主流になっていくといった情報がもたらされた。その後他社とも比較したが、法人カードのシェアは、アメリカン・エキスプレスが圧倒的に高いと聞いたのも決め手になった。

「状況を聞いて、それなら早いうちに企業間取引加盟店になっておいた方が他社との差別化が図れると判断しました。その上、アメリカン・エキスプレスと取引のある顧客を紹介していただけるというのです。実は当社も営業活動のためにいくつかの広告媒体を使っており、毎月少なからず広告費がかかっていました。アメリカン・エキスプレスから送客を受けることができれば、その費用が不要になります」