知財戦略で見る日本メーカーの競争力(2)
「技術、マーケすべての知財を統合的に戦略化」
本田技研工業

本田技研工業 別所弘和氏本田技研工業
知的財産部
ブランド・知財企画室長
別所弘和

 本田技研工業(ホンダ)の知的財産戦略は、くしくも大展開期に向けて創業者の本田宗一郎と名参謀・藤澤武夫が現役を引退した1973年を契機に強固なものになった。背景には、同年に発売されたシビックに搭載された2つの技術革新があった。一つが、世界で初めてマスキー法に適合認定された「CVCCエンジン」であり、一つが独自の自動変速機「ホンダマチック」である。

「触媒を使わずエンジン内の燃焼そのもので排出ガス中の大気汚染物質を抑制するCVCCエンジンの開発では、CVCC専門の特許部門が創設されました。一方、ホンダオートマチックでは、世界中のどの特許にも抵触しない真のホンダオリジナルとする大方針が示されて特許部門が大活躍。実際、ホンダマチックは、日本の他のメーカーがアメリカの会社からライセンスを受けた特許を使わず、独自の特許技術でした」(別所弘和・知的財産部ブランド・知財企画室室長)。

 そして現在のホンダの知財戦略は、別所室長の肩書きに端的に示されている。ホンダでは、他社の特許調査や特許出願こそ本田技術研究所や各研究所の特許部門に委ねられているが、出願以後の管理、商標・意匠管理、訴訟や契約、模倣品対策などは本社の知的財産部が担い、しかもブランドガイドライン管理やブランドイメージの発信、テクニカルネーミングのコンテンツの運営なども担っている。

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