コロナ禍で顧客とのタッチポイントは実店舗からECへ

 先述したように「Substance 3D」は「社内外の意思決定を円滑化・迅速化させる手段」として期待 できるが、同時に「製品と顧客を密接につなげる手段」としての可能性も無限に広がっている。

 昨年来のコロナ禍で、顧客とのタッチポイントは、実店舗からECサイトへと大きな振り幅で移行中だ。これから先、アフターコロナの局面でもECの利便性に対する顧客の支持は変わることなく拡大していくだろう。つまり、PCやスマートフォンの画面がこれからの購買行動を大きく左右する。顧客が触れるデジタルチャネルのビジュアルに対する投資が不可欠だ。この投資を渋ることは、会社のミッションを顧客と共有し、顧客と密につながり続け、ブランドを成長させる機会を放棄することに等しい。

「『Substance 3D』が実現するリアルな3Dビジュアライズは、まずゲームクリエイターにとって欠かせないものとなりました。例えば、『ファイナルファンタジー』の制作現場でも使われていて、ゲーム業界での普及率は90%に及ぶといわれています。この流れはゲーム業界だけではなく、他業種、例えば製造や小売にも広がっています。バーチャルフォトとして自社の制作物に取り込んだ先駆的な企業の1社がイケアです」(加藤氏)

 イケアはすでに、カタログ内の75%の画像をバーチャルフォトで制作し、その制作の中で「Substance 3D」を利用しているという。家具・インテリア小物は、レザー、ウッド、スチール、ファブリックなど異なるテクスチャーのオンパレードだ。表面感があれば、奥行き感もあり、朝の陽光が差し込んでいることもあるだろう。それらをリアルに表現して、高度なライフスタイルフォトをバーチャルで創れるところにイケアは着目したのだ。

創造性は高く、環境負荷は低く、顧客との結びつきは強く。アドビの「Substance 3D」が企業にもたらす恩恵とは「Substance 3D」による制作事例。あらゆるテクスチャーをリアルに表現できるので、プレゼンテーションおよびコミュニケーションの確度と深度が増す。これらは、バーチャルフォトとして販売促進にも活用できる(上) Image by Adobe(https://www.adobe.com/jp/) (下)Art by Pauline Boiteux(https://www.allegorithmic.com/blog/pauline-boiteux-explores-pattern-art-substance-designer)