二つ目は「Thermo Scientific™ AerosolSense™ Sampler」(以下、エアロゾルセンスサンプラー)です。エアロゾルとは空気中に漂う微粒子のことで、新型コロナの感染経路であることが分かっています。エアロゾルセンスサンプラーは、電子レンジぐらいの大きさの機械の中にカートリッジを差し込んで空気を吸い込ませ、空気中のウイルスを捕捉し、カートリッジを取り外してPCR検査にかけることで、一定の期間、その空間の中にウイルスが存在したかどうかを検出するシステムです。
実際に米国の高齢者施設のスタッフ休憩室に本機を設置して使用したところ、空気中から新型コロナウイルスが検出されました。その日から3日後、その間体調が優れないために出勤を控えてもらっていたスタッフが新型コロナ陽性であったことが確認され、結果としてクラスターの発生を未然に防ぐことができた、という事例があります。
三つ目は「Thermo Fisher Scientific™ ReadyCheckGo™」(以下、レディチェックゴー)。これは当社が米国で展開しているサービスの名称で、学校で定期的にPCR検査を行うためのサービスです。非常に簡便な採取方法で、しかもコストを抑えた形で検査し、迅速に結果を提供することで、子どもたちに安心して学校に通学してもらうためのプログラムです。米国においては国が補助する形で行っており、すでに700以上の学校で、8万人以上の生徒や学校関係者が利用されています。また、このレディチェックゴーには、経済活動の再開のためにも、企業などが関心を示しています。
当社はこれを、日本においても教育機関や企業、あるいは高齢者施設といった人が集まる場所で展開し、withコロナの状況においても活動を再開し、社会や経済を停滞させないことに貢献していきたいと考えています。
八塩 新型コロナに対応しながら日常生活を取り戻していくために必要なソリューションを、これからもたくさん提供していくということですね。
室田 はい、その通りです。
イノベーションにおける日本の競争力向上に貢献したい
八塩 新型コロナウイルスの出現で、世界は大きく、がらっと変わってしまいました。今後日本において、どのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。
室田 新型コロナウイルスとは、今後も、数カ月、場合によっては年単位で付き合っていかなくてはならないことが分かってきています。そうした中、新しい岸田政権の下で、検査体制の拡充整備ということが大きくうたわれています。PCR検査は今後の感染拡大を防止する上で非常に重要な役割を担っており、当社は検査を提供するメーカーとしてきっちり後方からサポートしていきたいと考えています。
新型コロナ対策においては、当社が展開してきた事業と重なる部分が多かったことで、日本の企業として、いろいろと貢献をすることができました。
さらにこれから日本のためにどんな貢献ができるのかを考えたとき、残念ながら今の日本はいろいろな面で競争力が相対的に落ちてきています。ただし、多くのサイエンス領域ではまだまだ日本が世界をリードできる部分があると思っています。そういった領域で、当社としてはサイエンスを通じてお手伝いをして、イノベーションにおける日本の競争力を高めることに貢献していきたいと考えています。
八塩 明るい兆しを感じられるようなお話、ありがとうございました。
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