フランスベッドの赤坂ショールームにて。左が上山直樹氏、右が垣内純氏

幅広い業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる一方で、企業間取引においては、いまだに電話・FAXによる非効率な受発注業務が残っている。人手によるアナログ作業が必要であれば、オフィスに出社しなければならないし、人為的なミスも避けられない。業務の改善と効率化には、自動化の仕組みが不可欠だ。アイルのBtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」を導入したフランスベッド インテリア事業本部の事例から、課題解決の方法を解き明かす。

FAXで受け取った注文を手作業で入力

フランスベッドのベッドフレーム「カリソマスペシャル-22」。優雅なデザインと細部の仕上げにこだわりが漂う逸品

 家具インテリア業界のトップメーカーとして知られるフランスベッド。同社の事業は、インテリア事業とメディカル事業のニつに大きく分かれており、一般家庭やホテル・宿泊施設向けにベッドや家具類、寝装品の製造・卸売りを行うだけでなく、医療・福祉施設向けに医療・介護用ベッド、福祉用具の製造・卸売り、レンタルなども手掛けている。

 今回、インテリア事業本部(以下、本文中ではインテリア事業)において、アイルが提供する「アラジンEC」を導入し、2020年2月に本稼働させた。アラジンECとは、企業間取引に特化したBtoB専用のEC(電子商取引)パッケージ。取引先からの注文受付サイトとして活用できるほか、自社営業が出先にて単価や在庫問い合わせ、代理注文ができる営業ツールとして、また、本部と店舗間の社内受発注サイトといった活用法がある。

「当社の受注業務自体が完全なアナログの状態で、取引先さまからFAXで頂戴するのがメインとなっていました。FAXを受け取った後は、当社の担当者が手作業で入力していたことから、業務負担が大きく人手による入力ミスの発生も問題となっていました」。こう話すのは、フランスベッド 執行役員 インテリア事業本部インテリア商品企画推進部長の上山直樹氏。

フランスベッド執行役員 インテリア事業本部インテリア商品企画推進部長 上山直樹氏

 業務量を減らし、人為的なミスによって発生するコストを抑えるには、受注業務における“自動化の仕組み”が不可欠であると考えたことが、『アラジンEC』導入のきっかけになったと上山氏は語る。

 インテリア事業が取り扱う製品は多品種・少ロットだ。製品数は寝装品の小さなものも含めると十数万点にも上る。また、見た目が同じでも、例えばベッドフレームに引き出しが付いている商品もあれば、通気性や清掃性が高い脚付き仕様の商品、ベッド下全体が収納スペースになるガス圧式の跳ね上げ収納タイプなどもある。小売り・流通の発注担当者は、それらに加えて、色やサイズなども指定しながら注文する必要がある。

「取引先さまにとっては、商品の検索や絞り込みが簡単で、カタログだけでは分かりづらい商品スペックを画面の中で確認しながら発注できることが重要なポイントであり、ネットショッピングのような感覚で操作できることも、アラジンECを採用した理由の一つです」(上山氏)

 実はインテリア事業よりも先行して、メディカル事業がWeb受注システムとして同じくアラジンECを導入しており、彼らの評価とパッケージレベルとしての高さもインテリア事業の採用を後押ししたという。