業務時間の短縮だけでなく、納期回答の自動化にも成功

 本稼働させた20年2月といえばコロナ禍直前であり、まさに逆風下での船出となったようで、アラジンECの活用が本格化するまでには約1年の時間を要した。自社のシステム部門とアイルの間に立ち、アラジンECの導入をリードした、インテリア商品企画推進課の垣内純氏は、次のように話す。

受注業務を“自動化する仕組み”で販売子会社のFAX注文を80%EC化フランスベッド インテリア事業本部インテリア商品企画推進部 インテリア商品企画推進課 垣内純氏

「最初に全国各地からパイロット店を選定してスタートしたのですが、適度な頻度で適度な受注がないと、使う側もなかなかシステムに慣れることができません。加えて、業界的にDXの進展が遅れている部分もあり、家族経営で高齢化しているような店舗も多く、思うように利用が広がっていきませんでした」

 コロナ禍の影響も大きかった。全国の取引先にシステムの導入を説明するには、社内の各営業部に周知を徹底し、営業部から各取引先に案内を行う予定だったが、コロナ禍によって社内の全体会議が中止になり、出張禁止も含めて、社内周知のタイミングを失ってしまった。

 活用促進に向けた次の一手を模索する中で、ターニングポイントになったのが、グループ子会社・フランスベッド販売の基幹システムの入れ替えだ。これを契機にアラジンECとの連携を進めていった。

 フランスベッド販売からの注文は毎月1500~2000件あり、これまでFAXで受注し、担当者が基幹システムに手入力していた。段階的な導入により、現在、注文の約80%に当たる1200~1600件をアラジンEC経由で自動化することに成功。業務時間に換算すると、月間2700分(45時間)の削減、1受注当たり約2分の時短が可能になった。

受注業務を“自動化する仕組み”で販売子会社のFAX注文を80%EC化アラジンECの導入により業務時間・工数削減、生産効率の向上、顧客満足度向上が実現

「FAXで届いた注文票には間違いもあり、そのまま入力できる情報とは限らないので、お客さまの記入ミスを確認し、訂正することもありました。アラジンEC経由の情報は、正しい情報しか入ってこないので、表面的な入力工数だけでなく、付随する工数を減らすことにもつながりました」と上山氏。

「アラジンECにより受注業務を自動化し、24時間365日、就業時間以外にも注文を受けられるようになったことで、“入力待ち”がなくなり、受注生産注文における生産のリードタイムの短縮という副次的な効果も生まれました。注文に対して在庫を持っている商品については、納期回答メールの自動返信が可能になり、対応時間の削減に加え、顧客満足度の向上にもつながったと思います」と垣内氏も補足する。

 ネットショッピング感覚で操作できるユーザーインターフェースも好評で、利用者から取り扱い方法などについて疑問や不安の声が上がることもなく、スムーズに活用が進んでいるそうだ。