「ハイパフォーマンスコンピューティングの活用」と「データ分析・AI」の強み

 自動車の衝突シミュレーションは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を活用して、膨大な時間をかけて計算する。自動車メーカーの多くは自社で大型計算機を所有し、さまざまなシミュレーション、分析などを行っている。そうした重要な計算資源を効率的に活用するために、ワークロード管理を行うのが、二つ目のハイパフォーマンスコンピューティングのビジネスだ。

 アルテアのテクノロジーを活用すれば、ユーザーは端末から計算を投げれば、ソフトウエアが最適な計算資源を選択して、順番に計算ジョブを実行してくれる。緊急を要する計算は、フラグを立てれば、既存のジョブを追い越して、優先的に計算を実行してくれるほか、社内にあるオンプレミスの計算機の負荷が高くなったときには、自動的にクラウドコンピューターに流すようなジョブ管理、いわゆるクラウドバースティングも可能だ。

世界最高峰のスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源を活用し、クラウド利用形態に関する実現可能性と効果を検証した。
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 三つ目のデータ分析・AIでは、データプレパレーション(データ準備)、機械学習と予測分析、リアルタイムでの可視化を可能にするソフトウエアをそれぞれ用意している。

 ある製造現場の事例では、プレス機にIoTセンサーを取り付けて、ゆがみをモニタリングし、「ある現象が起きたときに、〇日後に故障するリスクが高い」といったことを過去のデータから学習させて、異常予測と予知保全に活用している。

 また金融業界では、トレーダー向けにリアルタイムで為替や株式の取引状況を把握する可視化ツールが、世界の上位7行で採用されている。

AIとシミュレーションであらゆる予測、分析を可能に

 製造現場における異常予測や予知保全については、一度も壊れたことがないような場合や一度しか異常が発生したことがない場合は、AIに十分な学習をさせることができない。しかし、アルテアにはシミュレーションツールがあるので、シミュレーションデータを基に学習させることも可能だ。

「例えば、壊れた場合のシミュレーションをして、データを取得し、実験データと合わせて学習させます。その学習に時間がかかる場合は、ハイパフォーマンスコンピューティングを活用することも可能です。これら三つの領域を融合してお客さまにご提案できることがわれわれの強みであり、業界の中でも唯一のベンダーであると自負しています」と加園氏は力を込める。