施設園芸業界の先駆的な総合メーカーとして、魅力ある農業社会づくりに貢献している誠和(栃木県下野市)。2022年2月からBtoBの「ブルーマーケット」を開設、SDGsの取り組みの可視化機能も持つ、生産から販売までの持続可能なバリューチェーンの構築を目指す。

 今、日本の農業は課題が山積している。農業従事者はこの10年で約3割減少、農業従事者の平均年齢は67.8歳と高齢化が進み、35歳未満の農家人口は3%(※1)と、深刻な後継者不足が指摘されている。それらの課題を解決するためのスマート農業技術の普及率も、わずか16%未満で、政府目標の80%に遠く及ばない。また、生産側の農と消費側の食のバリューチェーンがリンクしておらず、消費側に無駄が発生し、年間の食品廃棄量が2531万トン(※2)に達するフードロスの問題もある。

「当社はこれまで、IoTを活用してスマート農業技術の推進を図り、収穫量の向上に貢献をしてきました。ところが農家からは"せっかく収穫量が上がっても売る方法がない"という声を多く聞くようになっています。ならばIoT技術を用いて、生産から販売までを一気通貫で行うスマートフードチェーンを構築したらいいのではないか、と考えたのです」

 そう語るのは、誠和の大出浩睦(おおでひろのぶ)社長だ。こうして誕生したのが、BtoBオンラインマーケット「ブルーマーケット」。施設園芸農家である生産者と、小売業者などのプロ購入者を直接結ぶ、新しい青果物流通サービスだ。農と食の需給マッチングを図って、食料供給体制の持続可能性を高めるこのプロジェクトは、中小企業庁の令和3年度予算「商業・サービス競争力強化連携支援事業(新連携支援事業)」に採択され、22年2月のテスト運用を予定している。

※1:農林水産省「令和2年度食料・農業・農村白書」の数字を参考に作成
※2:食品廃棄物等・食品ロスの推計結果(環境省公式サイトより)