厳選した採用と徹底的な教育が大きな違い

 では、なぜラクスパートナーズはそうした優秀なITエンジニアを派遣できるのか。最大の理由は、厳選した採用と徹底的な教育を行っている点にある。

 ラクスパートナーズでは派遣する人材を全て正社員として採用しており、年4回、選考試験を行っている。その合格率は、わずか2.8~3%だ。つまり100人の応募があっても、最終的に選ばれるのはたった2~3人しかいない。

 ちなみに同社に応募してくる人材は、ほとんどがITエンジニアリングの未経験者である。より多くの応募を受け付けるため、あえて「経験不問」としているからだ。IT人材不足は深刻化しており、経験者だけに絞って募集をかけると、どうしても応募者数は少なくなってしまう。未経験者も広く受け入れることで、より多くの人材を獲得する狙いがある。

 ただし、それによって応募者に占める未経験者の割合が高くなることが、合格率の低さに結び付いているわけではない。

「未経験者」を採用し、育成したITエンジニアが派遣先の企業で大好評な理由

「選考段階では、エンジニアとしての知識や技術力の高さはあまり重視していません。むしろ、本気でこの仕事をしたいのか、どれだけ情熱を注いで仕事に打ち込めるのかという“やる気”と、派遣先で社員の方々と一緒に仕事に取り組んでいける“コミュニケーション能力”の高さを評価しています。技術力よりも、人間力重視の採用を行っているのです」と森氏は説明する。

 技術力を二の次にしているのは、採用後の教育でしっかり身に付けさせられる体制を整えているからだ。同社の親会社であるラクスは、創業時から7年間ほどITエンジニアを育成するスクールを運営した経験がある。ラクスパートナーズはその教育プログラムを継承しており、未経験の人材でも、短期間で一定以上の知識と技術力を持ったITエンジニアに育て上げることができるのである。

「通常、ITエンジニア派遣会社の新人教育研修は1~2カ月程度ですが、当社は3カ月かけて入念な教育を行います。3カ月でも短く感じるかもしれませんが、1年分相当のカリキュラムを凝縮して教えるので、かなり密度の濃い内容です」(森氏)

 受講する社員にも相当な負担がかかるはずだが、これによって知識や技術がしっかり身に付き、苦労を乗り越えたことへの自信が人間力をひと回り大きくするのだという。

 実際、研修を終えて派遣された同社の人材は、2~3年の経験者と遜色ない知識や技術を持っていると派遣先から評価されることが多いそうである。これが「今までの“派遣”のイメージとは違う」と思われる理由であろう。