産業界における茨城県のイメージが向上している。首都圏とのアクセスが良好で、国内有数の広大な工業団地を持ち、優遇制度も手厚く用意している。近年は大きな成長が見込まれる次世代産業の誘致にも力を入れる。優良企業を引き付ける茨城県のポテンシャルをレポートする。

(上)グローバル展開の拠点となる茨城港常陸那珂港区
(下)圏央道と常磐自動車道が交差するつくばJCT付近

 今、茨城県をビジネスの拠点として選択する企業が増えている。実際に工場や研究開発拠点の移転候補地として、茨城県を明確なイメージとして捉えるケースが多いのだ。

 マーケティング調査(※1)によると現在、工場などの新設・移転を計画している企業のうち、「茨城県への立地を検討している」「茨城県が対象となる可能性がある」と答えた企業の割合が、前年度の5.4%から23.5%まで増加している。

 経済産業省の「工場立地動向調査」によれば、工場立地件数が65件、県外企業立地件数38件で、いずれも全国第1位(※2)という実績が既にある。

 なぜ茨城県が選ばれるのか? その大きな理由は、交通インフラの整備だ。先のマーケティング調査の結果を見ても、茨城県は「常磐道・圏央道等の交通インフラが整っている」「都心近くの良好なロケーションである」という項目が上位にくる。一方で、企業が生産拠点や研究開発拠点について重視しているのは、「本社・自社拠点との近接性・アクセス」「市場や取引企業への近接性」などの項目。つまり茨城県は、企業側が求める立地の要素を備えているのである。

 アクセス面では、圏央道の県内区間の全線開通が大きい。特に4車線化が進む圏央道沿線地域である県南・県西地区の工業団地への引き合いは非常に多く、産業用地の需要に供給が追いつかないほどだ。そのため21年度に、つくばみらい市福岡地区で、約20年ぶりに県施行による産業用地の開発がスタートしている。

首都圏の北の玄関口となる茨城空港

 交通インフラでいえば、県内にはグローバル展開の拠点となる茨城港・鹿島港という重要港湾があり、首都圏3番目の空港である茨城空港へのアクセスも良い。

 それに加えて、茨城県は土地の価格が安価であることも魅力となっている。国土交通省の都道府県地価調査によれば、21年の工業地の平均価格は2万700円/平方メートル。圏央道が通る首都圏の埼玉県(6万5400円)や千葉県(5万3000円)よりもかなり安価なのだ。

※1 「令和3年度 茨城の産業イメージアップ事業(マーケティング調査)調査報告書」帝国データバンク調べ
※2 経済産業省「2020年通年(1月~12月)工場立地動向調査」