立地企業事例

キヤノンモールド
斎藤憲久
代表取締役社長

キヤノンモールド
分散していた工場を集約、生産能力の
向上と物流の効率化を実現する

 精密プラスチック金型の設計・製作を行うキヤノンモールドは、2007年に、キヤノンおよびキヤノン化成の金型部門とイガリモールドが統合して発足した会社だ。茨城県内に、主に事務機器やカメラなどのキヤノン向けの金型を手掛ける阿見事業所と、医療機器や自動車部品、食品容器などの金型を手掛ける友部事業所がある。

 21年5月には、笠間市内に分散していた友部事業所の6工場を集約、同市内に新工場(本社・友部事業所)を建設した。

 斎藤憲久社長は、「新工場建設の理由は、分散している工場を集約することで、生産能力の増強と物流の効率化を図るためです。この地『茨城中央工業団地(笠間地区)』を選択したのは、常磐自動車道友部SAスマートICに近く物流面での利便性が良かったこと。また地元密着型の会社であるため、従業員の通勤を考え、なるべく同じ地に新工場を造りたかったからです」と語る。

 新工場の敷地面積は10万平方メートル、延べ床面積は1万8000平方メートルあり、工場内は四つの機能別ゾーンに分かれる。

 ゾーン内は柱のない構造のため一気通貫の機能的なレイアウトが実現、六つの工場が集約したことでヒト・モノ・情報の流れが統合され、生産効率が向上した。県からは、従業員の通退勤用に周回道路を整備するなど、大きなサポートがあったという。

「当社の強みは、匠の技と新技術を融合した、高精度の金型を作る技術力を持つこと。難しい課題にも果敢に挑戦し、『型内組み立て』など、新たな価値を生み出す金型を提案できるメーカーであると自負しています。今後も技術の伝承と人材育成に取り組みながら、新工場完成をきっかけに、さらなる飛躍を図りたいと考えています」(斎藤社長)

笠間市内に新たに立地したキヤノンモールドの本社・友部事業所
大日精化工業
青葉匡彦取締役(左)、
大日精化工業 坂東製造事業所
粟屋勝文事業所長(右)

大日精化工業
二つの事業部と開発技術部門を移転、
地元の人材採用も実施

 色彩の総合メーカーとして、1931年に創業した大日精化工業(本社:東京都中央区日本橋馬喰町)。顔料・樹脂を中心に独自の「顔料合成」「分散加工」「樹脂合成」技術を持ち、付加価値の高い製品を創造し続けている。同社の製品は、自動車・電気機器・建材などの部品から、日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで、広範囲に活用されている。

 全国に営業拠点や生産・技術サービス拠点を展開しているが、2021年8月に、茨城県の坂東インター工業団地内に坂東製造事業所を開所。これまで埼玉県の川口製造事業所にあったグラビアインキ事業部とコート材事業部、開発技術部門を全面的に移転する計画だ。

「川口製造事業所が手狭になり、このままでは安定した事業の成長ができないという判断から、新たな拠点を探していました。危険物が扱えて、広い敷地があり、交通の利便性が良い場所、というのが条件。坂東インター工業団地はその三つの条件を全て備えており、お客さまへのクイックデリバリーを考えると、最寄りの圏央道坂東ICから車で5分という立地が魅力でした」

 そう説明するのは青葉匡彦取締役だ。敷地面積は約7万1200平方メートル、新設された工場では、グラビアインキ、フレキソインキ、コーティング剤の需要拡大に対応していく。

 坂東製造事業所の粟屋勝文事業所長は、「茨城県や坂東市は企業誘致に非常に積極的で、土地の価格も安価、契約後のフォローも手厚く、各種の優遇制度も充実していました。今後は、地元の人材採用も積極的に行いながら、お客さまからの新規の製品開発に対応できる体制を整え、会社の"稼ぎ頭"となれるような事業所を目指したい」と抱負を語る。

東日本の市場をカバーする坂東製造事業所、従業員は約200人
●問い合わせ先
茨城県立地推進部立地推進課
〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978-6
TEL:029-301-2036
E-mail:ritchisuishin@pref.ibaraki.lg.jp
https://www.indus.pref.ibaraki.jp/
文部科学省電源地域産業育成支援補助金充当事業