内閣府の調査によれば、結婚したいと考えている男性は83%、女性は90%。だが一方、地縁、職縁など“ご縁”の文化が廃れ、また、お見合いも減っていることなどから、出会いの機会が減り、男女間のミスマッチも拡大。そんなご時勢に躍進しているのが結婚情報サービスだ。透明性に疑問があり、クレーム発生件数も少なくない業界だが、近年は新進気鋭の会社も登場。「1年以内の成婚を目指す」がうたい文句のユニークな婚活支援企業を取材した。
結婚情報サービス会社にとって
提供すべき最大の価値は?
代表取締役CEO 佐藤 茂
「業界人なら誰もが驚くはず」
パートナーエージェントCEOの佐藤茂氏が誇るのは「成婚率20%」という数字だ(*1)。
婚活男女にとって、頼りになる存在ともいうべき結婚情報サービス。成婚率は誰しも気になるところ。だが、公表しない会社も多く、実情は不透明。
「成婚率の平均値は5~10%程度」というのが業界の見方だ。
成婚のための経営努力すらしない事業者もいるのでは、という見方もある。婚活市場規模は拡大しつつあるが、経済産業省の調べでは約600億円と、パイはそれほど大きくない。大小の事業者がひしめき合い、顧客獲得競争は激化しつつある。
「そこで、入会のための広告宣伝費にコストをつぎ込み、サービスへの投資はとことん抑える事業者が少なくない」という。また、事業経営をする立場からは、結婚に至らなければ、月会費を取り続けることができる。
佐藤氏は広告代理店のオプトを経て、大手結婚情報サービスに転職し、取締役就任。その後、独立しパートナーエージェントを設立した。
「英会話学校なら生徒の英語力向上が、学習塾なら偏差値向上がサービスの提供価値になります。結婚情報サービス業にとっては成婚率こそ最大の価値。だからこそ、われわれはその向上にすべての資源と情熱を注いでいます」
主観に基づいた
アドバイスはしない
成婚率を上げるため、同社では一風変わった方針を貫いている。「主観に基づくアドバイスはしない」というものだ。
2006年の創業だが、首都圏7カ所、大阪2カ所、名古屋、福岡に拠点を持つ。さらに13年、全国の主要都市への拡大を目指す。
「個人の経験に基づくアドバイスも、結婚をお勧めすることもありません。主人公はお客さま自身。われわれはゴールを明確にし、目標を達成できるようお手伝いをするだけ。そのために行っているのがコーチング手法を用いたインタビューです。入会時に2時間ほど理想の相手像や結婚観などについて、じっくり質問していきます」
たとえば、「優しい人が理想」と言う会員がいたとする。だが「優しい人」とはどんな価値観を持ち、どんなシーンでどんな行動を取る人なのか。深く質問を重ねることによって、漠然とした希望、結婚観が具体的な姿形を持つようになる。