企業内の仕組みと組織文化の両軸を確立し、高い次元で実行していく経営者がイノベーションを生み出す。その力の源がデジタルだ。ダイヤモンド社は2022年2月15日、17日の両日、ビジネスフォーラム「イノベーションとデジタルが創り出す、日本企業の未来」と題したウェブセミナーを開催した。その中で、デジタルワークフローのプラットフォームを提供するServiceNow Japanの牛田勉氏が、デジタルワークフローがもたらす新しい企業経営について解説した。
業務の整流化・デジタル化をもたらす「全自動洗濯乾燥機」!?
デジタルワークフローを考えるとき、最初に「ワークフローとは何なのか」を明らかにすべきだ。ここでのワークフローとは「業務についての一連のやりとり・流れ」を指す。
組織の中で行われる業務は、「期待される成果(物)」「その業務をスタートさせる人、申請方法」「処理内容、判断基準、完了条件」などで定義される。これら一連の段取りを定義するためには、紙・ハンコによる単純な承認フローの他にも、「申請手順・方法」「複数業務部門間のリレー」「業務成果の改善」のレイヤーが不可欠となる。
営業統括本部 執行役員 統括本部長
牛田 勉 氏
2004年よりPTCジャパンにてエリアバイスプレジデントとしてグローバル企業の製品開発のIT化を支援。10年にSAPジャパンにてバイスプレジデントとして戦略顧客部門、組立製造業部門にて統括本部長を歴任し、グローバル展開支援に加えて、クラウドなどの先端技術活用をいち早く推進し、業務標準化に取り組む。17年にゼネラルビジネス統括本部長に就任、18年より常務執行役員に就任。持ち前のバイタリティーで社内組織を統合・強化し、新規顧客開拓、パートナー育成などで急成長をけん引。20年8月よりServiceNow Japan執行役員に就任。米カリフォルニア州サンノゼ州立大学卒業。一般社団法人ソフトウェア協会理事。
ServiceNow Japanの牛田勉氏は、「『どの申請用紙を使うのが正しい?』『どの部門で停滞している?』『より良い成果のための議論は?』など、各レイヤーで発生するわずかな負荷の山積が業務を滞留させていきます」と語り、アナログワークフローのデジタル化を提言。デジタル化を実現する同社クラウドサービス「ServiceNow」について「業務の整流化・デジタル化ができるようになる“全自動洗濯乾燥機”」だと紹介する。
全自動洗濯乾燥機は、洗濯・すすぎ・脱水・乾燥を全て1台でこなす便利な家電だ。従来の洗濯工程には多くの工数を要していたが、全自動洗濯乾燥機が登場し、人がタッチするのは「最初」と「最後」だけになった。
「全自動洗濯乾燥機は、洗濯の途中工程から人を完全に解放しました。同時に、誰が洗濯しても同じ品質で洗濯ができる、という価値をもたらしました。当社のデジタルプラットフォームも同様です。一般的な業務工程における『起案・申請・打診』『人や資源のアサイン』『承認』『作業実行』など、各レイヤーで発生していた介在操作が一切不要になり、ワークフローは最初と最後の『申請』と『確認』のみに。完全なEnd-to-Endでの自動化を実現し、従業員を介在作業から完全解放します」