コロナ禍により
家賃保証市場が拡大
家賃保証業界が飛躍を遂げた時期は2度ある。1度目は17年の民法改正の公布だ。連帯保証人が責任を負う上限額の明示(例えば2年分240万円というように)と情報提供が義務化され、それに伴う契約のハードルが賃貸人・賃借人共に高くなった。2度目はコロナ禍による延滞リスクに対する意識の高まりだ。そのため、「物件オーナーの家賃保全意識が高まり、ニーズが変化した」と中島代表は話す。「これまで私たちが求められていたのは『迅速な審査回答』『高い承認率』でしたが、今は、家賃滞納を出さないための『高度な与信』、そして契約後の『アフターフォロー』が重視されています」。
同社の場合、高度な与信は、創業以来蓄積してきたデータ(年間20万件超の申し込みがある)やJICC(日本信用情報機構)、LICC(全国賃貸保証業協会)という個人信用情報機関などの情報を活用して与信精度を高めている。アフターフォローは、創業当初からの同社の強みだ。中島代表はそれを「安心安全な債権管理」と表現する。
「ない袖は振れない」のことわざ通り、お金がない入居者に支払い依頼の電話をしても払えるわけがない。「そこで社員には、回収に行くのではなく寄り添って解決策を見つけ出しなさいと繰り返し話してきました」。
延滞が発生すると、同社ではまずSMSのような非対面の方法で支払いを促し、それでも反応がなければ、コールセンターの担当者が電話をかける。「その目的はお客さまの安否確認もあります」(中島代表)。病気で寝込んでいるのではないか、失職して失意に暮れているのではないか、昔の大家が店子を心配するような気持ちで連絡を取り状況を把握する。支払いの相談にも乗り、公的支援利用の提案や手続きサポートなども行う。そのように寄り添ってつらい時期を乗り越えることができれば同社に対する信頼が生まれる。物件オーナーや賃貸管理会社からの評価も高まり、新規借り手に保証会社を勧める際には最初の候補となる。入居者、物件オーナーや賃貸管理会社、同社の「三方WIN」である。