独自の石炭ガス化の
テクノロジーで水素を製造

カーボンニュートラルと水素社会の実現に向けチャレンジJ-POWERがプロジェクトに参画している英国のトライトン・ノール洋上風力発電所

中野 その風力発電に加えて、カーボンニュートラルの実現には、水素が欠かせないのですね。

菅野 水素には、再生可能エネルギーの電源を利用するグリーン水素と、化石資源を用いたブルー水素があります。当社には“石炭ガス化”という独自のコアテクノロジーがあり、これを応用して石炭から水素を製造する実証実験をすでに始めています。石炭をガスの状態にして、そこからCO2を取り除き水素を作ります。その水素を発電に使い、CO2は地中に貯留または有効利用することで、CO2を排出しないクリーンな発電が可能になります。

中野 水素は燃やしてもCO2を排出しないクリーンなエネルギーですが、扱いが難しいため、運搬などの技術も大変ですよね。

菅野 そうなのです。水素は宇宙で一番小さな分子なので、パイプの継ぎ目から簡単に漏れてしまう。当社では、豪州の褐炭から製造した水素を液化して、日本まで液化水素専用船で輸送する、国際水素サプライチェーン構築実証実験に参画しています。液化水素はマイナス250度という低温で運ぶ必要があり、ここでも技術的なチャレンジがあります。