目に見える困難を前に
事業者同士が協力し合う
中野 私は、工学部応用化学科出身なのですが、当時の先生たちがCO2をメタンに戻して資源として使う話を真剣にしていたのを覚えています。純粋にサイエンスのパズルとして面白いと思うのですが、今後、凡用性を持たせるためにも技術的なブレイクスルーはあるのでしょうか。
菅野 ブレイクスルーを目指して、現在はまだチャレンジの段階です。だからこそ、一つの選択に絞らず再生可能エネルギーの導入拡大も、CO2フリー水素も、あらゆる可能性を見据え、幅広い取り組みを進める必要があるのです。
中野 今は、柔軟なアイデアや判断が求められている時期ですよね。こんなときこそ、他業種との連携が必要になると思うのですが、脳科学の見地からいうと、似通っている集団ほど、混じり合わずに戦ってしまう傾向があります。そこで最も効果的なのが、お互いの力を使わないと乗り越えられない目に見える困難があること。それがあれば協力し合うことができる。
菅野 それはまさに、気候変動に対する現在の産業界の取り組みの姿ですね。CO2を排出する事業者同士が、力を合わせてカーボンニュートラルを実現しようとしている。その取り組みは当社を含めてすでに始まっています。ぜひ期待していただきたいと思います。
(右)J-POWER/電源開発
菅野 等 氏
取締役常務執行役員
1984年電源開発入社。2011年設備企画部長、15年執行役員設備企画部長、執行役員開発計画部長、16年執行役員経営企画部長、17年常務執行役員などを経て、19年6月より現職。
(左) 脳科学者・医学博士・認知科学者
中野信子氏
東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授。1998年東京大学工学部応用化学科卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆を精力的に行っている。メディア出演も多い。
菅野 等 氏
取締役常務執行役員
1984年電源開発入社。2011年設備企画部長、15年執行役員設備企画部長、執行役員開発計画部長、16年執行役員経営企画部長、17年常務執行役員などを経て、19年6月より現職。
(左) 脳科学者・医学博士・認知科学者
中野信子氏
東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授。1998年東京大学工学部応用化学科卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆を精力的に行っている。メディア出演も多い。