与信審査のノウハウ不足が、機会損失につながっている

 もう一つ、請求業務に関連する大きな課題として中田氏が挙げるのが、与信審査である。掛け売りで商品やサービスを提供するには、貸し倒れを防ぐためにも与信審査が不可欠だが、コロナ禍によって、求められる審査の精度が高まっているのだという。

 例えば、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの長期化によって、飲食店や夜の店などの経営が立ち行かなくなるケースが増えている。その分、これらの店に食材や酒類を掛け売りで卸している会社は、今までよりも慎重に卸先の信用力を確かめざるを得なくなってきた。飲食やサービスだけでなく、あらゆる業界で同じ傾向が強まっているはずだ。

「多くの企業の場合、審査のための情報も限られているので、精度の高い審査を行っているところはほとんどありません。そのため、貸し倒れを完全になくすことは不可能なのですが、昨今は、それが増加する懸念が高まったことで、新規の取引そのものを見送るケースも増えているようです」と中田氏は語る。

 販路の拡大が重要だからと、せっかく開拓できた新規顧客と契約を交わそうとしても、与信審査が通らない、もしくは審査できずに却下されてしまう。これでは、新規開拓で売り上げを伸ばすことなど不可能である。

「経営者は『掛け売りが無理なら、現金取引にすればいいじゃないか』と言うかもしれません。現金取引は決済後、どうしても納期が長くなるケースが多く顧客は待ってくれません。結果的に機会損失につながってしまうのです」(中田氏)

 与信の精度を上げて、より多くの顧客に掛け売りをすれば、そうした機会損失を防げるはずだが、ノウハウや情報が足りないので何ともしようがない。かといって、十分な審査もせずむやみに掛け売りをすると、貸し倒れがどんどん膨らんでしまう恐れがある。

 景気の悪化とともに、いかに柔軟で精度の高い与信審査を行えるかということが、企業経営の重要課題として浮かび上がっているのである。

 企業の決済業務にまつわる課題は山積しているが、ここまで中田氏が挙げた課題を整理すれば、①経理業務の煩雑さを減らして業務を効率化できるか、②催促など社員の心理的負担が大きい業務をいかになくすか、③いかに与信審査の精度を上げて機会損失や未回収リスクを減らし、売り上げを伸ばすか、の3つに集約することができる。

 これらを一気に解決する方法として、中田氏が提案するのが「請求業務のすべてを、信頼の置ける外部受託会社に外注してしまうこと」だという。

与信審査の通過率は99%! 未収金の全額保証も

 中田氏によると、最近では、請求書の発行から入金の消し込み、未収金の催促、回収まで、請求業務の全てを丸ごと請け負ってくれるだけでなく、信頼性の高い与信審査と同時に、回収不能時の支払保証までしてくれるアウトソーシングサービスがあるという。与信審査サービスの精度の高さに相当の自信があるからこそ、支払保証サービスが提供できるのだろう。

「こうしたサービスを利用して社員を請求業務から完全に解放することが、最も手っ取り早く、業務効率化を図り、社員の肉体的・精神的な負担をなくせる方法だと言えます。請求業務は企業ごとに独特のルールやプロセスがあるので、最も外部委託しにくい業務だと思われがちですが、実は柔軟に受け入れつつ信頼の置けるサービスを提供している会社もあります」と中田氏はアドバイスする。

 そうしたサービスの一つとして中田氏が注目するのが、ネットプロテクションズが提供する「NP掛け払い」である。

 これは、BtoC向けの後払い決済サービスで20年以上の実績を持つネットプロテクションズが、BtoB向けの掛け払い決済サービスとして10年ほど前から提供しているものだ。

 その仕組みは至ってシンプルで、ユーザー企業から請求先、請求金額、締め・支払日などのデータを提供すれば、請求書発行から代金回収に至るまでの全てを代行してくれる。

 膨大で面倒な請求業務がなくなれば、社員はより生産的な仕事に専念することができる。経理担当者の負担が減るだけでなく、営業担当者も催促の手間から解放され、より活発に営業活動を展開できるようになる。

 とはいえ、どんなに積極的な営業を行っても、顧客が与信審査を通らなければ契約に結び付かないのは先ほども述べた通りである。

 そうした機会損失を減らすため、「NP掛け払い」は与信審査も含めた受託サービスを提供している。その特徴は、十分なノウハウや情報を持たないユーザー企業と違って、非常に精度の高い審査を行っている。

 そして、その詳細な話をしてくれたのが、ネットプロテクションズで「NP掛け払い」事業を統括する小島真一氏である。