専門知識不要のAIツールを格安で提供

 コロナ禍で変わったのは通信環境だけでない。企業はいま、自社の存在がどうあるべきかを問われている。小笠原氏は、「企業は長引くコロナ禍によって、これまでやってきたものだけを守り続けていたら破綻してしまうことに気づき始めている」と指摘する。つまり、変化しないことがリスクにつながるのだ。

「変化とは、ネットワーク上でビジネスをしなければならない時代であることに気づくことです。そのためには安定したネットワークが必要ですし、さらに変化を進めようとしたら、データをしっかりと利活用することが必要になります」(小笠原氏)

 そうした企業のニーズに応えるために同社が20年にリリースしたのが、AIによるデータ分析のツール「Prediction One Biz」(プレディクション ワン ビズ)だ。機械学習やプログラミングなどの専門知識がなくても、数クリックの操作で膨大なデータを解析し、高度な予測分析を自動で実行できるツールだ。

 同様のサービスの構築をシステムインテグレータに依頼すると数百万円から数千万円といった費用がかかるが、同社がこだわったのは、年間わずか19万8000円(税別)という価格設定だ。小笠原氏がその理由を説明する。

「一般的な企業の課長がAIツールを導入したいと考えたときに自分で決裁できる金額は、20万円程度です。AIを使って自分たちのビジネスにイノベーションを起こしたいという気持ちさえあれば、誰でも気軽に導入できる金額であるべきだと考えたのです。お客さまの事業活動には、有益なデータがたくさん眠っています。そのデータをしっかり取得してビジネスにつなげるためには、AIを導入しやすくすることは必然です」

 低価格だから小規模事業者向けというわけではない。大手企業の導入も増えており、AGCやワークマンなどがすでに「Prediction One Biz」を利用している。

 データをどう活用していいか分からない企業も少なくないが、ソニービズネットワークスではそうした企業に対するコンサルティングも行っている。