国際医療福祉大学・高邦会グループ専務理事が新経営チームのキーパーソンの採用に自らコミットする理由

山王病院や三田病院など全国約60の病院・施設を運営する他、医療・福祉分野の総合大学として約2万9000人の医療人を輩出している国際医療福祉大学・高邦会グループ。東南アジア展開などの新たな成長戦略を描き、組織横断的な経営企画のチームづくりを進めている。その人材採用を担う「組織戦略責任者」を転職サイトのビズリーチを通じて公募した。伝統的な医療界において、今後の成長を左右する重要な人材を、転職サイトというプラットフォームで公募するのは極めて異例。その意図や将来展望などについて、高木邦彰専務理事に、ビズリーチの多田洋祐代表取締役社長が聞いた。

東南アジアへの進出など、さらなる成長戦略を描く

多田 国際医療福祉大学・高邦会グループ(以下、IHWグループ)は、2020年に創立110周年を迎えられたそうですね。

高木 私の曽祖父が1910年に、福岡県大川市で高木眼科医院という小さな医院を開業したのが、当グループのルーツです。その後、質の高い医療・福祉サービスをより広い地域で提供するため、地道に取り組んできました。現在では発祥の高木病院をはじめ、国際医療福祉大学や山王病院など、全国約60の病院・施設を運営しています。職員数も約1万2000人に上ります。

国際医療福祉大学・高邦会グループ専務理事が新経営チームのキーパーソンの採用に自らコミットする理由国際医療福祉大学・高邦会グループ
専務理事/医師
高木邦彰氏
1990年生まれ。東京慈恵会医科大学卒。メディカルノート共同創業者。

 95年には、日本初の医療・福祉の総合大学である国際医療福祉大学を開学しました。全国五つのキャンパスに10学部25学科を設置し、医師、看護師をはじめ、約2万9000人の医療人を輩出しています。創立110周年を迎えた20年3月には、日本初の国際的なハブ病院を目指し6番目の付属病院となる国際福祉医療大学成田病院を開院しました。

多田 その1世紀以上にわたって築き上げた事業をさらに発展させるため、IHWグループは「地方創生」「グローバル展開」「イノベーション」の三つの軸で、新たな成長戦略を描いていると伺っています。

国際医療福祉大学・高邦会グループ専務理事が新経営チームのキーパーソンの採用に自らコミットする理由ビズリーチ
代表取締役社長
多田洋祐氏
2006年、中央大学法学部卒業後、エグゼクティブ層に特化したヘッドハンティングファームを創業。12年、ビズリーチに参画し、その後ビズリーチ事業部長を務める。15年より取締役として、人事本部長、スタンバイ事業本部長、HR Techカンパニー長等を歴任。20年2月、現職に就任。

高木 今でこそ都会の大きな病院も運営していますが、福岡県の小さな医院から始まった当グループは、地域の皆さまに支えられながら発展してきた歴史を持っています。地方医療はわれわれのグループのアイデンティティであり、各地区とも病院や大学を中心とした「地方創生」には力を入れていきたい。

 地方では医療・福祉人材の確保が困難ですが、グループ経営なら人材も何とか再配置できますし、大学からは、毎年多数の医療・福祉人材を世に送り出しています。

 今後もグループとして成長を続けることが、地方の医療を守るために不可欠だと考えています。

 成長を続けるためには、新しい事業領域にも果敢にチャレンジしていかなければなりません。そこで「グローバル展開」と「イノベーション」という二つの柱を掲げました。

 グローバル展開では、将来的には主に東南アジアへの進出を目指しています。国際福祉医療大学の医学部からは毎年140人の学生が卒業していますが、そのうち20人前後は東南アジアからの留学生です。将来、それぞれの国の病院や医療行政で活躍する人材を育て上げ、われわれ自身も活躍の場を提供することで、事業の幅を広げつつ、東南アジアにおける医療レベルの向上と日本の医療全体のプレゼンスを高めることに貢献していきたいと思っています。

 一方、医療分野におけるイノベーションも、グループ経営を実践しているわれわれだからこそ強みが発揮できる領域だといえます。IHWグループには優秀な医療人材が数多くそろっていますし、医療に関する膨大なデータも保有しています。これらの無形資産をさまざまな異業種と共有すれば、革新的なビジネスやサービスが生み出せるはずです。

 そうしたオープンイノベーションの仕組みやエコシステムを形成して、日本の医療の未来を少しでも支えていきたいと考えています。