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「所得税法、法人税法などで保存が義務付けられているもの、電子帳簿保存法で保存が可能なもの、電子帳簿保存法で保存が義務付けられているもの、保存が認められないものなど、データ保存に関しても4つの区分があり、種類、作成方法、保存方法なども帳簿や書類、取引情報によって変わります。これら一つ一つを確認してルールに沿った形にしないといけません。入力ミスや社員の認識不足など、ささいなデータの欠落で要件を満たさないとされると、一から作り直さなくてはなりませんし、認められないこともあります。痛くもない腹を探られることにつながりかねません」
そう話すのは、改正電子帳簿保存法に対応した会計ソフトや給与計算ソフトを提供するマネーフォワードの野永氏。義務化されるまでの宥恕措置の期間は短いので、すぐに対応しなくてならないと強調する。
野永氏は、マネーフォワードが担当した日本ビューティコーポレーションを例に挙げた。「美と健康を通して輝いた人を創る」をミッションとし、エステサロン経営をトータルにサポートする同社では、3月から電子帳簿保存法業務運用をスタートさせたが、「ご担当の経理財務・人事労務部係長は当初、改正電子帳簿保存法そのものを理解することに苦労されていました」と振り返る。
この担当者は制度理解のために21年の夏頃から改正電子帳簿保存法に関する複数のセミナーへ参加したものの、それだけでは全てを理解することができなかった。改正電子帳簿保存法は一般社員も多く関係するが、担当者自身が業務運用の形をイメージできないため、社員にどうしてほしいのか、うまく説明できなかったという。
そこで担当者は税理士に相談し、システムで対応する方針をとった。すでに導入していた経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」に加え、21年10月から支払依頼の仕訳を自動作成する「マネーフォワード クラウド債務支払」を導入。そこから改正電子帳簿保存法に対応した業務運用を急ピッチで進めたという。
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一方、担当者は経営層や上層部、現場従業員などへの説明を重ね、電子帳簿保存法の周知を進めていった。