いま、デジタル分野で最も注目されているテーマの一つである「メタバース」。30年近いデジタル地図開発で蓄積した膨大なコンテンツを活用し、「メタバース」の世界におけるリーディングカンパニーになろうとしているのがジオテクノロジーズだ。最先端のRPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)ソリューションの活用で地図データ更新の生産性を3倍に上げ、現実世界の変化をリアルタイムに仮想空間で再現しようとする同社の取り組みに迫る。
デジタル地図制作で蓄えた膨大な資産が武器
「メタバース」とは、現実世界のアナログ情報をデジタル世界に持ち込み、加工し、価値ある情報に変換することで、遠隔医療や災害救援のシミュレーションなど、さまざまな社会課題の解決に役立つと期待されているデジタル技術である。
そのメタバースにおいて現実世界のアナログな情報をデジタル世界に持ち込み、加工し、価値ある情報に変換する手法でメタバースの世界をリードする企業になろうとしているのがジオテクノロジーズだ。
パイオニアの100%子会社として1994年に創業し、カーナビ用のデジタル地図事業をスタート。カーナビや法人向け地図データ・位置情報ソリューションの提供のほか、「トリマ」や「MapFan」ブランドによる個人・法人向け地図サービスを提供。直近では高度な自動運転の実現に不可欠な高精度地図の提供も行うなど、日本のデジタル地図業界を牽引している。デジタル地図サービスの分野では、国内の草分け的存在である。2021年6月に独立し、今年の1月に現在の社名となった。
「デジタル地図は、建物や橋梁、道路標識など、デジタルデータ化されたさまざまなコンテンツによって構成されています。30年近くにわたってデジタル地図を開発してきた当社には、そうしたコンテンツが8億件以上も蓄積されており、そのままメタバースの素材として使用できるのです」と語るのは、同社代表取締役社長 CEOの杉原博茂氏である。
代表取締役社長 CEO 杉原博茂氏
しかも、ジオテクノロジーズが保有するコンテンツは、もともとデジタル地図用に開発されたものなので、住所や緯度・経度などのデータがひも付いている。現実世界の建物や道路の位置と寸分の違いもない空間をメタバース上に創るには、これらの情報が不可欠なのだという。
そうした強みを持っているからこそ、「メタバースのリーディングカンパニーになる」という杉原氏の言葉は自信に満ちている。
「膨大なコンテンツを、デジタル資産の所有権を証明するNFT(非代替性トークン)とひも付ければ、世界中のメタバースのプラットフォーマーに販売することもできます。長年にわたって蓄積した資産と技術力を生かしながら、世界に挑んでいきたいです」(杉原氏)