軽量性とリサイクル性が高い
アルミニウム

アルミニウムで環境負荷を低減。“軽やかな世界”をつくるUACJの石原美幸社長と、環境問題におけるアルミニウムの可能性を実感する石原良純氏

良純 知らない間に、アルミニウムは、現代社会の縁の下の力持ちになっているのですね。モビリティ分野での活用が増えると、例えば車などは燃費が良くなりますよね?

社長 そうなのです。今世界では、車体の軽量化が求められています。アルミニウムは鉄の3分の1の重量という軽量性が評価され、車体への採用が進んでいます。車体が軽量化すれば、燃費が向上し航続距離の延長にも役立ち、製品ライフサイクル全体で環境負荷軽減に貢献できるのです。

良純 天気予報をやっていると、どうしても地球温暖化による影響が気になるのですが、アルミニウムは素材そのものの力で、環境負荷軽減に役立っているんですね。そういえば、アルミ缶は分別ごみで厳しく仕分けられています。再生しやすいという特質もあるのですか。

社長 おっしゃる通りで、アルミ缶は、日本では回収の仕組みが構築できているため、2020年度実績では、94%がリサイクルされ、そのうち71%が再びアルミ缶になっています。アルミ缶は品質を落とさずにリサイクルできるので、何度でもリサイクルできるのが特長です。アルミの新地金から作る際と比較して、CO2の発生量は3%で済みます。

良純 プラスチックによる海洋汚染が問題になっていますが、海に潜ってサンゴ礁に人工の容器があったりするのを見ると、悲しい気持ちになりますよね。本来自然界に存在しないものを混在させてしまうのは、僕ら人間以外の何者でもない。やはり人間が作った製品や素材は、責任を持って回収し、リサイクルしていく必要がありますね。

社長 自動車のボディパネルでもリサイクルの取り組みが始まっています。ただしリサイクルは、個社の取り組みでは解決できない大きな取り組みで、サプライチェーン全体で仕組みを構築していく必要があります。現在当社は、アルミニウムリサイクルのサーキュラーエコノミーの心臓となるべく、その一つとしてリサイクル事業会社と協業に向けて検討を進めています。