2022年4月、東証プライム市場への上場基準として気候変動関連のリスク情報開示が盛り込まれた。このストリームをいち早くキャッチし、スコープ3も含むGHG(温室効果ガス)排出量が算定・可視化できるツールを提供するゼロボードは、さまざまな業種の大手企業らとの協業で大きなエコシステムを構築している。今まさに急成長の注目スタートアップだ。

ゼロボード
渡慶次道隆(とけいじみちたか)代表取締役

「かつては“コスト”として捉えられていた気候変動関連のリスク情報開示が、いまや企業としての成長を左右する“投資”として認識されるようになっています。自社やサプライチェーンが排出するGHGの量を高い精度で算定し、削減のための努力をすることは、収益機会拡大や企業価値向上のために欠かせません」

 そう語るのは、GHG排出量を算定・可視化するクラウドサービス「zeroboard(ゼロボード)」を提供するゼロボードの渡慶次道隆代表取締役だ。

 渡慶次氏は、外資系金融機関、大手総合商社を経て、テック系のスタートアップに転職。ESG投資が盛り上がりを見せている金融市場からの開示圧力や、国によるカーボンニュートラル宣言によって、企業にとってGHG排出量を算定するニーズの高まりを感じたことから「zeroboard」を開発。2021年7月にリリースした。同年9月には、スタートアップ企業から事業をMBO(経営陣買取)してゼロボードを設立している。