東証プライム上場企業など
1000社以上が導入
リリースからまだ1年足らずだが、「zeroboard」のユーザー企業は、東証プライム市場や東証スタンダード市場の上場企業など100社以上。エントリープランを利用する中小企業を含めると1000社以上が利用している。GHG排出量算定・可視化ツールの“デファクトスタンダード”といってもいいだろう。
多くの上場企業から選ばれているのは、排出量算定の国際基準である「GHGプロトコル」に基づいて設計し、ISO14064-3に準拠した検証手順に基づく妥当性の保証を受けていることや、ユーザーからのフィードバックに基づいて操作性を高め、使いやすさを徹底追求している点などが高く評価されていることが理由だ。
「UIにはかなりこだわっており、スコープ1、2は、ほとんどマニュアルなしで排出量を算定することができます。スコープ3についても、今年6月にサプライヤーからのデータを効率よく収集する機能を追加した他、多くの企業から熱望されていた商品・サービスごとのGHG排出量を算定する機能をリリースし、ユーザー企業の幅が一気に広がっています」(渡慶次氏)
サプライヤーの
取引先拡大にも役立つ
このように、「zeroboard」は非常に優れたツールであるが、そのメリットはGHG排出量を精度高く、スピーディーに算定できることだけにとどまらない。
「当社は単にツールを提供するだけでなく、ユーザー企業がGHG排出量を削減するためのさまざまなソリューションを、数多くのパートナーと連携して提供しています。算定・報告の作業を効率化するだけでなく、ユーザー企業の収益機会拡大や、企業価値向上に貢献したいと考えているのです」と渡慶次氏は語る。
ゼロボードが提携するパートナーは、金融機関や地方自治体、エネルギー会社、商社など多岐にわたる。
例えば提携先のあるメガバンクは、脱炭素関連の取り組みを行っている企業に有利な条件で融資をするサステナビリティリンクローンやグリーンローンといった融資商品を提供しているが、「zeroboard」によって排出量を精度高く算定すれば、条件にかなって融資を受けられる可能性が高まる。
また地方自治体では、地域の脱炭素化に向けてGHG排出削減の取り組みを行う企業に補助金を出す動きが広がっているが、ゼロボードはそうした自治体の一部とも連携して、ユーザー企業が補助金を獲得しやすくなるようなソリューションを提供している。
「他にも、電力会社と提携してスコープ2の排出量が多いユーザー企業に再エネ利用を提案したり、スコープ3の排出量を削減するため、商社を通じてGHG排出削減に積極的なサプライヤーを紹介したりするなど、パートナーとのエコシステムを通じて、ユーザー企業により大きな価値を提供しています」と渡慶次氏は説明する。
設立して1年足らずのスタートアップでありながら、メガバンクや地方自治体、電力会社といった有力なパートナーとエコシステムを形成しているのは、「zeroboard」が、さまざまな分野からいかに高く評価されているかを示す証拠である。