企業内のコミュニケーションは、良好なら企業成長の源泉になるが、社員の不満や不安、課題にうまく寄り添えなければ、モチベーションやエンゲージメントが低下、離職すらありうる。その要としていま注目されているのが上司と部下の1on1ミーティングだ。これまでも必要性は認識されていたが、リモートワークが進み、その重要度は格段に高まっている。2018年にKAKEAIを立ち上げた代表取締役社長兼CEOの本田英貴氏は、自身の経験に根差すプロダクト「Kakeai」で、コミュニケーションのズレのない社会を目指し、変革に挑んでいる。

注目度増す1on1、上司のスキル不足が課題

 近年、多くの企業で上司・部下による1on1ミーティングが導入されるようになった。堅苦しい旧来の人事面談などとは違い、主に直属の上司がメンターとなり「短時間の面談を高頻度で繰り返す」「部下のキャリア形成のみならず日頃の悩みなどについても上司が傾聴する」「カジュアルな雰囲気」などを特徴としている。

 とはいえ、カジュアルな面談だから何となく雑談するだけ、というわけにはいかない。上司は、常に部下の本音に寄り添い、受け止め、ある時は適切な答えを提示することを求められる。難易度は高く、スキルの巧拙が問われる。

KAKEAI
代表取締役社長 兼 CEO
本田英貴

 リモートワークで企業の求心力が十分発揮できていないと考える経営層も、1on1には期待を寄せる。ただ一方で、現場をまとめるマネジャーからは「業務の進捗管理はできても、部下との踏み込んだコミュニケーションは不足気味。メンバーが何を考えているか把握できていないし、1on1自体をどう進めたらよいのかわからない」との声が聞こえる。

 こうした1on1への期待と課題に正面から取り組み、根底から企業内部のコミュニケーションを変革しようとしているのがKAKEAIだ。同社はコロナ以前の2018年4月に創業し、1on1支援プラットフォーム「Kakeai」をローンチした。

 同サービスへの問い合わせ件数はコロナ禍で激増しており、同社代表取締役社長兼CEOの本田英貴氏は、現在の問い合わせ状況について「コロナ前の100倍ほどに達している」と反響の大きさに驚く。