さまざまな体験を通して
人の痛みが分かる人間に
八雲学園のもう一つの特徴は、「文化体験」を重視していることだ。「総合的な学習」の一環として、月1回の文化体験の日を設け、美術鑑賞やミュージカル、映画鑑賞をはじめ、さまざまな場所に出掛けて文化や歴史を探究する。さらに学校行事も大切にしており、コロナ禍においても、最大限の工夫をして体育祭や文化祭、合唱コンクールなどを実施した。また対面授業にもこだわり、早くから教室にアクリル板を導入、可能な限り通常の授業を行ってきた。
「本校が文化体験や学校行事、さらに対面授業を重視するのは、人との触れ合いを通じて人間性を育んでもらいたいと考えるからです。学力の向上も大切ですが、何のために学校があるかといえば、やはり学校生活の中で多様な人間と出会い、時にはぶつかり合いながら切磋琢磨することで成長していけるからです。中高時代にそういう体験をしておかないと、世の中に出たときにどこか欠落した人間になってしまう。大人になって人の痛みが分かる人間になるためにも、八雲でさまざまな体験をしてもらいたいと思っています」(近藤理事長)
八雲学園は18年に共学化を果たし、今年度は共学1期生が高校2年になった。入学者は男女半々で、共学校としての認識はすっかり広まった。
近藤理事長が掲げているのは、伝統と革新の調和。80年以上の歴史を持つ女子校の良さをしっかりと受け継ぎながら、共学校としての良さを伸ばしていく考えだ。入学してくる男子は、いい意味で“女子力”を持った穏やかな生徒が多く、女子生徒にはリーダーシップを取る活発な生徒もいて、互いに認め合う良い関係を築いているという。
同校は部活動も盛んで、空手道部や女子バスケットボール部は全国大会の常連校だ。近藤理事長は、「女子バスケットボール部の場合、八雲のバスケットは、反則をしないきれいなバスケットだとよく言われます。時にはお嬢さんバスケと揶揄(やゆ)されますが、フェアプレーのスタイルに憧れて入部してくる有望な生徒も多く、それが強さの秘訣にもなっています」と話す。
グローバル教育と文化体験を中心に、独自の教育を展開する八雲学園。これまでの実績を踏まえ、共学校としてさらなる飛躍を図る。