学校完結型の指導で
幅広い進路を実現
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昨年度もコロナ禍の影響で多くの学校行事が中止となった。それでもオンライン授業などで学びを止めずに対応できた。そして松下校長は改めて教育の意味を見つめ直したと言う。
「教育の“教”は知識を教えること、“育”は心と人間性を培うものです。“教”はオンライン授業などでも補えますが“育”は学校に来て教員や友人と集い、学び合い、語り合うことで得られるものであると痛感しました。しかも“教”と“育”は足し算ではなく、掛け算で育むものだとも。双方のバランスが取れてこそ高い能力を培えます」と自身も数学教員である松下校長は語る。同校の一人一人を見守り、それぞれに合わせた細やかな教育姿勢は松下校長が語る“育”の役割を担うものだ。
また、自学自習ができる生徒を育てることを目的とする「学習支援センター」は“教”と“育”をバランスよく取り入れている。弱点を翌日に積み残さない基礎力定着プログラムをベースに、チューターとして常駐する外部講師との個別面談によって学習を計画的に進めていく。これを「ステップアッププログラム」として学校完結型で予備校に通わず受験に臨める体制を整備した。難関私大に在学中の卒業生チューターも在籍し、より身近な相談相手となり生徒に寄り添うだけでなく、成功体験者としてのロールモデルの役割も果たす。その他難関大学に挑戦する生徒には、志望校別個別指導も実施。別途必要となる費用の半額を補助する制度も完備し、生徒の挑戦をバックアップしている。
同校のこれらの教育は着実に実を結び、国公立大、難関私立大への進学実績は年々上昇している(表参照)。今春は入学者も中学で1・5倍、高校で1・4倍と飛躍的に伸ばしている。
勉強以外でも、人間性、自主性を育む教育は、盛んな部活動や幅広い進路にも表れる。部活動に打ち込みながら、難関大を目指す生徒も多く、全国制覇もした強豪のチアリーディング部に所属したある生徒は、学校推薦型入試で上智大へ進んだ。ラクロス部からは一般入試で明治大への進学者もいる。一方で「単身ロンドンの美容学校に進み、現地で美容師として活躍する卒業生など、進路は実に多彩です」と松下校長は笑みをこぼす。
10代という大切な時期を丁寧に見守り、生徒の夢への挑戦を応援し続ける同校。創立100周年を来年に控え、多様な能力を尊重し〝伸ばす〟学校として、さらなる進化を続けている。