少人数制教育で
「個」にフォーカスする
北豊島の特徴は、少人数制教育にもある。特に中学校は1クラス原則20人。「1対20」のアプローチではなく、「1対1が20通り」になる環境をつくっている。教員が個々をしっかり把握しているからこそ、生徒たちは安心して何事にもチャレンジできる。
社会科を担当する塩川広之AO室長は、「本校は会話の多い学校で生徒の話をよく聞きます。日常的な会話を通して、生徒たちの表情や反応から変化を感じ取り、何かあれば対応できる体制を整えています。普段の会話が豊かな分、教員と共に“問い”に向き合い発言量が自然と多くなる“対話型”の授業もスムーズに行えます」と少人数制教育のメリットを話す。
「個」にフォーカスしているが故に、それぞれの「個」が責任を持つ場面が多く、発言や傾聴のレベルが上がって内容のある会話が成立し、それが具体的な行動に結び付いていく。
「髪の毛を切った生徒に理由を聞くと、ヘアドネーション(髪の寄付)のためと答えたり、老婦人の方から、バスの中で落とした荷物を拾い席を譲ってくれたというお礼の電話が学校にあったり、数値化できない“非認知能力”の高い生徒が本校ではたくさん育っています。より良い世界を目指すリベラルアーツ教育が、そうした生徒を育んでいるのかもしれません」(河村校長)
少人数制教育のメリットを生かし、「1対1が20通り」という姿勢で、「個」へのアプローチを行う