社会人向けのトレーニングプログラムを提供、リスキリングにも貢献する
デジタル人材の育成は、教育現場だけでなく、社会人に対しても行われている。アドビでは、あらゆる人のスキルをアップデートするために官民連携で発足した「日本リスキリングコンソーシアム」に参画。リスキリングパートナーの一社として、デジタルスキル向上につながるトレーニングプログラムを提供している。
同プログラムは、アドビの三つのクラウドソリューション、「Adobe Creative Cloud」「Adobe Document Cloud」「Adobe Experience Cloud」で構成され、初心者向けのオンライン講座から、ビジネスですぐに応用できる実践的なスキル取得まで、レベルに合わせて選択できる。プログラムへの登録者は1万人を超えているという。
「リスキリングに力を入れるのは、潜在的なデジタル人材を発掘し、企業のデマンドにマッチングさせるためです。教育現場での取り組みも大切ですが、子どもたちの育成には時間がかかるため、喫緊の課題を解決するためには、社会人の育成が重要だと考えているのです。
ただし社会人の場合、ツール自体が難し過ぎると、そこで諦めてしまう方が多い。そのため、それほどトレーニングを必要としない『Adobe Express』のようなツールを普及させることが重要だと考えています。また現在、『Photoshop』や『Illustrator』などのクリエイティブアプリをブラウザー上で使うことができるウェブ版を開発中であり、より機能的に優れたツールを使うことのハードルを下げる試みも行っています」(神谷社長)
日本から世界へ。フラットな世界を体感できるクリエイターのSNS「Behance」
また、アドビが運営する世界最大級のクリエイターSNSである「Behance」の普及にも力を入れている。世界中のクリエイターが自身の作品を公開しているソーシャルネットワークサービスで、すでに数百万点以上の作品が公開されている。印象に残った作品には評価が付き、海外のクライアントから仕事を依頼されるケースもある。
「『Behance』は、デザイナーやイラストレーター、フォトグラファーやCGアーティストなどにとって、世界中に仕事のフィールドが広がる可能性のあるSNS。デジタル人材の育成のためにも、今後日本でのユーザー数の拡大に力を入れていきたい」と神谷社長は意気込みを語る。
デジタルを活用したビジネスモデル変革には、人の自由な発想や創造力(クリエイティビティー)が必要になる。「心、おどる、デジタル」というビジョンの下、同社はクリエイティブデジタルリテラシーを持つ人材の育成を通して、デジタルによる新たな価値創造を推進している。