経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ・2020年12月)」によると、9割以上の企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に未着手であったり、一部の実施にとどまっており、DX実現への道のりはまだ遠い。DXを推進するためには何が必要なのか。アバターサービス事業を手掛ける4COLORSの加山緑郎社長は、「鍵は組織のコミュニケーション力にある」と語る。同社のサービスを導入したLIXILが約5000本もの動画を自社制作した成功事例を通して、そのサービスの“凄み”を紹介する。
DX推進には「現場主導」で行う「組織のコミュニケーション力」向上が不可欠
DXが進まない要因は何か。「伝達産業の創造」を掲げ、アバターサービス事業を手掛ける4COLORSの加山緑郎社長は理由として、①古いシステムが複雑化していてなかなか変えられない、 ②経営側がDXを理解しておらず予算がない、 ③専門的な人材がいない、という3点を挙げた。「DXの推進には、経営の視点ではなく現場の視点に立ち、古いシステムに依存せず、クラウドのような簡単に利用できる仕組みから徐々にスタートしていくことが必要です」。
ただそれでも、専門的な人材=デジタル人材の育成という課題が残る。そこで加山社長が着目したのが「組織のコミュニケーション力」だ。
「例えばお客さまに商品を売るときには、営業担当がサービス・商品の価値を伝えなければなりません。そのために会社は商品知識などの教育をするのですが、知識を付けただけではうまくいきません。実際に効果的な“営業トーク”ができないとお客さまに買っていただけない。つまり、組織全体のコミュニケーション力の底上げが重要になるのです」
加山緑郎 代表取締役社長
DXと聞くとデータの活用や管理の方法ばかりを思い浮かべがちだが、「私は“組織のコミュニケーション改革”と捉えています」と加山社長は新たな視点を提示する。そしてそのコミュニケーション改革を実現する画期的なソリューションが、4COLORSが提供する資料動画作成システムツール「PIP-Maker(ピーアイピー・メーカー)」だ。
PIP-Makerの特徴を、加山社長は次のように説明する。
① パワーポイントのファイルをアップロードするだけで資料動画(番組)が作れる。慣れないと難しい“トーク=語り”は、アバターが代わりを務める。「アバターは音声を録音しなくてもテキストを入力するだけで自然な合成音声で話します。撮影と録音、そして動画編集スキルが一切不要なので現場社員が動画を撮る必要がなく、その分の生産性が向上する。そこが最大のインパクトです」。
② 動画を再生するだけではなくインタラクティブ(双方向でリンク付き動画)にも使える。「例えばテスト形式にして、動画の講師が正解はAとBのどちらでしょうと聞くと、視聴者がAボタンを押す。正解なら先へ進める。こうすると一方的に動画を見ているときに比べて習熟度が上がります」。インタラクティブな機能は、マニュアル=取扱説明書動画の閲覧でも効果を発揮する。目次を見て知りたい項目をクリックすれば該当項目へ飛ぶので、動画を最初から見る必要がなくなり時間の節約になる。「動画なのですが、尺(長さ)という考え方がなくなるのです。このインタラクティブ性は強みですね」。
③ 「インタラクティブ機能は、お客さまの意見やニーズを“
では、企業は実際にPIP-Makerをどのように活用しているのだろうか。次ページでは、実際に導入して大きな効果を上げているLIXILの事例を紹介する。