LIXILでは従業員が自発的に5000本の動画を作成

文字を読む情報から、話して伝える情報へ。動画資料の理解・認知促進力は文字のみの資料を大きく上回る。撮影も録音もいらないので、完成後の動画は自分で何度でも修正可能
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 住宅設備機器・建材メーカーのLIXILは、2018年に営業現場での教育を目的にPIP-Makerを導入して以来、約5000本もの動画を自社内で作成した。

 営業本部教育企画部の湯浅大子氏は、導入の経緯をこう話す。

「働き方改革の推進を背景に、時間外労働の削減が求められるようになりました。さらにコロナ禍の影響もあって、以前なら研修やOJTの後、先輩に分からないことを教えてもらう時間があったのですが、それが難しくなり従業員の知識レベルの低下懸念がありました。併せて、社内のラーニングシステムを切り替えるというタイミングでもあったため、誰でもいつでも自発的に学習できる環境を整えることが必要と考え、社内の教育コンテンツを再構築する目的でPIP-Makerを導入しました」

LIXIL Water Technology Japan
営業本部 教育企画部
湯浅大子(ひろこ)氏

 動画作成の専門人材やスキルを持たなくても簡単に動画が作れるというコンセプトと、動画作成コストが抑えられる点を特に高く評価したと湯浅氏は言う。

 PIP-Makerの導入は教育企画部が決めたが、積極的な活用はボトムアップで始まったと、営業本部教育企画部の河西多佳子氏は振り返る。

「当社のPurpose(存在意義)は、『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』であり、それを実現するために『LIXIL Behaviors(3つの行動)』があります。①正しいことをする、②敬意を持って働く、③実験し、学ぶ、です。PIP-Makerの活用は、現場で実験していろいろなことを学びながら広めていこう、という3番目の行動にのっとって始まりました」

 4COLORSの加山社長が指摘した“現場視点”の土壌がLIXILにはあったのだ。河西氏によると、スモールスタートだったPIP-Makerの“凄み”は、瞬く間に社内外に広まったと言う。

LIXIL Water Technology Japan
営業本部 教育企画部 部長
河西多佳子氏

 PIP-Makerで作った教育コンテンツを社内SNSにアップしたところ、営業担当から「販促ツールとしても使えそう」という声が上がり、ビジネスパートナーなどの顧客ごとに最適化した提案を盛り込んだ販促資料をPIP-Makerで作成し、プレゼンテーションに活用するように。営業支援ツールが動画に変わった結果、商談が格段にスムーズになった。

 LIXILの商品、サービスの数は膨大で、従業員はもちろんビジネスパートナーも商品知識を効率良く学ばなければならない。

「今まではお客さまにパワーポイントで作成した資料を送ったり、出向いて説明したりしていたのですが、今はまずPIP-Makerで作成した動画資料を送って見ていただいた後にさらに詳しい話をするために伺う、という使い方をしています」(河西氏)