自治体や外部機関と連携しながらサポート
その第1弾が、7月にスタートした「中小企業の脱炭素化支援」だ。
「大手企業がサプライチェーン全体の脱炭素化を進める中、中小企業においてもCO2排出量削減に取り組まなければ、取引を停止されてしまう恐れがあります。逆に、脱炭素化に取り組めば、競争優位性の確保や知名度向上、コスト削減などが期待できます。さらに、中小企業の脱炭素化にかかる技術開発が進むことは、地域経済の発展にもつながります。しかし、情報が不足している中小企業が独力で脱炭素化を進めるのは難しい。そこで、信用金庫・信金中央金庫と自治体、外部機関が連携してサポートしていく体制を整え、三つの施策を進めていきます」
一つ目は、信用金庫による脱炭素経営の啓発と経営課題に応じた情報・ソリューション・融資の提供。二つ目は、信用金庫・信金中央金庫と外部機関(e-dash、持続性推進機構など)との連携による、脱炭素化に向けたCO2排出量の可視化や社内体制整備などの支援だ。
「ある大手信用金庫が実施した脱炭素に関する意識調査によると、『既に取り組んでいる』『検討中』『検討する意欲がある』と答えた取引先が合わせて8割近くに上り、脱炭素への関心が非常に高いことが分かります。しかし、『何から始めたらいいのか』『コスト負担が心配』と悩んでいる経営者も多いんですね。例えば、e-dashのクラウドサービスは電気やガスなどの請求書をスキャンしてアップロードするだけで、CO2排出量の自動算出と分析が行えますから、少ない負担で脱炭素化への一歩を踏み出せます。さらに、その先の排出量削減計画も含めて支援していきます」
そして三つ目は、CO2排出量・削減計画などの情報を自治体に提出することによって、利子補給・補助金を受け取れるようにすること。経済的インセンティブにつなげられるように自治体に働き掛けていく。
2022年6月末現在、42都道府県を含む749自治体が「2050年CO2実質排出ゼロ」を目指すことを表明しているため、多くの自治体から賛同を得られると期待される。