日本でも洋上風力発電の本格的な導入が始まった。それに先駆け、洋上風力の検査技術に磨きをかけてきたのが、第三者検査機関である日本検査だ。その知見と技術力を生かし、洋上風力の「品質」向上に貢献していく。
プラント設備・機器などの
第三者検査を行う「品質の番人」
今野幸一
常務取締役
検査事業部 事業部長
日本の再生可能エネルギー拡大の“切り札”といわれる洋上風力発電の本格的な導入が始まった。政府は初の大型洋上風力(秋田と千葉の3海域)の入札を2021年12月に実施。引き続き、「再エネ海域利用法」に基づき、一般海域に洋上風力の促進区域を設定し、発電事業者の入札を順次進めていく予定だ。
こうした動向を見据え、洋上風力の品質検査に関する情報収集に早くから努めてきたのが、プラント設備・機器などの第三者検査を行う日本検査だ。同社の今野幸一常務取締役は、その狙いを次のように話す。
「当社の検査業務を通じて、これから増設が見込まれる日本の洋上風力の品質を守るのが目的です。洋上風力の導入が最も進んでいるのが英国です。そこで4年前に英国の洋上風力のエンジニアリング会社に情報収集に行きました。その後も英国の検査会社と情報交換しています」
1953年に創業した同社は日本で最も歴史のある民間検査会社だ。「公明正大な検査サービスによって社会に安全と安心を提供する」という企業理念の下、日本製品の品質を守り、輸出拡大に貢献して高度経済成長を支えた。同社が「品質の番人」といわれるゆえんだ。
現在、同社の事業は日本から新興国に輸出されるプラントの市場拡大と、メーカーの調達網のグローバル化を背景に急拡大している。主力事業は、発電や石油精製、ごみ処理などのプラント設備・機器が要求仕様通りの品質かどうかを検査する検査事業と、船舶での貨物運搬時に積み荷の状態などを検査する海事事業、環境汚染物質の調査・分析を行う理化学試験事業の三つ。信頼性の高い検査機関であることを証明する国際規格「ISO 17020」も取得済みだ。