パブリッククラウドという
エコシステムがIT業界を救う
さくらインターネット
田中邦裕代表取締役社長
1996年舞鶴高専在学中にさくらインターネットを創業し、2005年に27歳でマザーズ上場。15年に東証1部へ。現在はプライム市場。アイモバイル・i-plug・ABEJAの社外取締役ほか、各種業界団体の理事や多くのスタートアップのメンターを担っている。
田中邦裕代表取締役社長
1996年舞鶴高専在学中にさくらインターネットを創業し、2005年に27歳でマザーズ上場。15年に東証1部へ。現在はプライム市場。アイモバイル・i-plug・ABEJAの社外取締役ほか、各種業界団体の理事や多くのスタートアップのメンターを担っている。
田中 日本は人口減少の影響でITエンジニアの不足が深刻化しています。一方で、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、ITは全ての産業の革新を担う役割を果たさなければなりません。そうなると、共通化できることは共通化していくべきで、それができなかったら、この国からDXに対し使える人材もリソースも消えてしまうという強い危機感を抱いています。
梅谷 より業務や利便性の向上に直結するところへと、リソースを集中して投入するような構造の変革が必要だと思います。パブリッククラウドはその答えの一つです。例えば、さくらさんがさまざまな顧客の要求を支えるインフラサービスやオプションを開発して低コストで提供すれば、ユーザーは自社の業務に直結するソフトウエア設計や開発、UI/UXなどに集中できるようになります。それが自ずと全体効率の向上につながっていくわけです。
田中 パブリッククラウド企業は、多くのお客さまに使ってもらい、中長期で収入を得るという発想です。お客さまから「こういう機能が欲しい」と言われて開発しても、直接的な開発費を頂くために実装するわけではなく、その機能を実装し、幅広いマーケット全体のお客さまに使ってもらえば、コストは回収できますし、自社のサービスが拡充する、あるいは向上すると考えます。
当社は昨年、パブリッククラウドに集中した結果、創業以降初めて減収になりました。一時的なコスト増だけで継続的課金モデルなので年を追うごとに売り上げが上がっていくことが事業として見通せているとはいえ、当初の見た目上は収益が大きく減ったように見えます。これを経営者として受け入れることは、すごく勇気がいりました。