ベンダー、ユーザー、国の意識改革で
日本のITが劇的に変わる
梅谷 繰り返しになりますが、国民の利便性を向上させるためのサービスを国は提供するべきで、そのためのインフラやツールを整備していくのですが、それができていなかったわけです。さまざまな要因と例外はありますが、官僚側にITリテラシーが十分ではなかったために、ベンダーからの提案が吟味できていないまま採用する、逆に理解が足りないが故に無理を押し付けたりしていたという状況があったのだと推察しています。つまりテクノロジーは日進月歩なのに、そこに対応できていなかった。デジタル庁は、そこを変えようとしています。例えばクラウドの調達は、テクノロジーの進展と国民の利便性という二つの軸で見ながら、良いものが現れれば採用できるように、継続して調達や利用方法をアップデートしていくという作業を地道に繰り返していくという方針です。
田中 ガバメントクラウドにAWS、GCPが選ばれたということにフォーカスされがちですが、既に国や自治体のクラウド需要は自治体にも様々な業務が存在し、それに合わせていろいろな会社も個別に対応を始めています。そして実は、ガバメントクラウドの周囲、つまり民間に巨大市場があってビジネスチャンスがある。
何十兆円と推測される日本の市場がパブリッククラウド中心となるならば、そこへ参入した会社は5年、10年という単位で大きな成長を得られるわけです。多くの企業が参入して、最終的に日本のデジタル化が進んでいけば、好循環が生まれるし、産業育成という観点での経済安全保障も安泰です。そういう粒度でパブリッククラウドを語っていきたい。
梅谷 ITの世界で「10年遅れ」は本当にクリティカル(危機的)です。一社が頑張れば何とかなるということではなくて、利用するユーザーのリテラシーや意識の変革、われわれのような政府や規制当局の意識も変えなければいけない。そこが残念ながら全体として遅れてしまったのだと思います。
また、グローバルではソフトウエアで実装する機能やサービスの利便性をどこまで高めることができるかという視点がますます重要視されている。その理解が日本のIT業界には足りないのではないか。テクノロジーをアカデミックな視点だけでなく、よりビジネス的な視点と結び付けられるエンジニアや経営層がもっと出てくれば、日本のITは劇的に変わる。その実現こそが本当のDXだと思います。
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