世界160以上の国・地域に約2億もの顧客口座を保有するシティグループ。地球規模で社会の発展に貢献する金融サービス事業者として、四半世紀以上も前からサステナビリティへの取り組みを推進している。世界の金融業界をリードし、自らも2030年までに1兆ドルのサステナブルファイナンス(投融資)を約束しているシティの戦略に迫った。
銀行のネットゼロ同盟に創設メンバーとして参加
投資銀行・法人金融部門
コーポレート・トランスフォーメーション・
アドバイザリー
ESG/サステナビリティ責任者
大町 興二氏
2020年より、日本におけるシティのESG/サステナビリティ責任者。投資銀行・法人金融部門におけるESG/サステナビリティ関連業務を統轄。
パリ協定の目標達成に向け、2050年までに地球全体のCO2排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)とするには、100兆ドル(約1京3500兆円)もの資金が必要だという。
「これほど途方もない資金を世界中のプロジェクトに確実に供給するためには、各国・地域の金融機関が緊密に連携できる枠組みを整備しなければなりません。ネットゼロという地球規模の課題解決に向けて、金融セクターの“ワンチーム化”が求められていました」
そう語るのは、シティグループ証券投資銀行・法人金融部門コーポレート・トランスフォーメーション・アドバイザリーでESG/サステナビリティ責任者の大町興二氏だ。
“ワンチーム化”の枠組みとして21年4月、国連のイニシアチブの下、「グラスゴー・ファイナンシャル・アライアンス・フォー・ネットゼロ」(ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟、略称GFANZ)が結成された。45カ国、450社以上の金融機関が参加。資産規模は130兆ドルと、全世界の金融機関の約4割を占める巨大な同盟だ。
「GFANZは、生保や投資顧問などセクターごとのアライアンスに分かれており、結成と同時に銀行セクターのアライアンスも新設されました。シティは、その『ネットゼロ・バンキング・アライアンス』(略称NZBA)の創設メンバーの一つです」と大町氏は説明する。
創設当初から23カ国、43行が参加し、日本のメガバンクも名を連ねるNZBAのメンバーは、自行の業務によるCO2排出および投融資先への投融資割合に応じたCO2排出につき、50年までにネットゼロを達成できるよう調整することなどをコミットしている。シティは創設メンバーとして、その取り組みの手本を示す役割を担っているのだ。