既存のコンサルティングファームとの大きな違い

 前ページのような「新規事業を立ち上げたが軌道に乗らない」、さらにはもっと前の段階の「そもそも新規事業をどう立ち上げていいのか分からない」といった悩みを抱える企業を、ベルテクス・パートナーズは支援している。

 豊富な事例、経験を持つため、事業戦略の策定やサービス開発だけでなく、アイデア創発ワークショップの実施、事業アセスメント、イントレプレナー(社内起業家)育成、戦略実現型PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)など、提供できるメニューは豊富だ。戦略策定から実行に至るまでのあらゆるプロセスに対応している。

なぜ新規事業の9割は失敗するのか。人材・情報不足でも、成功を引き寄せるポイントとは同社資料よりダイヤモンド社作成。新規事業の戦略から実行までの広い領域を支援する08と09のメニューは、同社の得意とするところ
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 同社の設立は2015年。独立性を保つため外部資本を入れず、山口社長を中心とする7人のメンバーが株を持ち合い、「新しい経営コンサルタントの姿」を実現すべくスタートした。

「私も含め当社メンバーはそれぞれコンサルティング業界のキャリアを持っています。しかし、既存のコンサルタントの仕事には不満を覚えていました。お客さまの御用聞きになっていて正しいことを言えない、株主や提携企業のしがらみにとらわれてお客さまに本質的な支援ができない、理屈ばかりで経験がないから言葉に重みがない……。そんな不満を取り除き、本気のコンサルティングをやりたい。そのように考えたのが当社設立のきっかけです」(山口社長)

事業の経験を生かし、一緒に汗をかく

 では、「本気のコンサルティング」を目指す同社が提供する新規事業開発とはどのようなものだろうか。特徴の一つは、1人のメンバーが複数のCxO領域を担える点だ。

 事業の初期段階では多様な機能が必要で、少ないメンバーの一人一人がCEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)など「CxOの役割」を担う必要がある。ベルテクス・パートナーズは総勢60人弱のタレント集団であり、大手外資系コンサルタント会社や事業会社での豊富な経験に加え、自社の立ち上げから成長までを担ってきた実践を熟知したメンバーがそろっている。各自がCxOクラスと同等の視座を持ち、事業を担う立場としての提案や支援を行えるのだ。

 また同社では、現場体験に即したリアルな知見と収益を得るために、自らがリスクを取って幾つもの事業立ち上げを行っている。ビジネス向けの英会話研修サービスや、先端ベンチャー企業への出資・支援などだ。こうした経験があるからこそ、理想論だけではなく、実態に即した「しみじみ感」のある対話を顧客と行えるという。

 また、「一緒に汗をかく」という姿勢も、既存のコンサルタント会社とは一線を画す特徴だ。

「私たちは、お客さまの組織内部に入り込み、“ワンチーム”となってサポートします。ご存じの通り、新規事業では最初の1円を稼ぐのが大変なのです。その1円を稼ぐために、当社メンバーがお客さま企業の名刺を持ち、テレアポや新規営業開拓に回ることもあります。お客さまと共に一緒に手足を動かし、泥くさく働き、結果の創出に全力で取り組むということです」(山口社長)

顧客企業が「自走化」できるまでが最終ゴール

 同社が最終ゴールとするのは、自分たちのサポートなしで、顧客企業が自走化できる状態だ。

「私たちは、“コンサルタントがいないと事業が成り立たない”ような関係を構築し、取引を引き延ばすことを良しとしません。それではお客さまのためにならないし、私たちも成長できないからです。だから新規事業開発には徹底的に伴走しますが、最終的にはお客さまが独り立ちするという前提で動いています」(山口社長)

 自走化の実現のために、担当者への教育も行う。アイデア創出や事業計画策定のノウハウを教授するだけでなく、自社の役員へのプレゼン方法を指導することもある。そうすることで担当者が「自分事」となって事業を進めていける。最終的に自走化までたどり着けば、新規事業に継続的に挑戦しようという文化が企業内に醸成されるのだ。