1592年に曹洞宗が設立した「学林」を起源に持つ駒澤大学。同学で展開される仏教と禅の教えは、精神的な混迷を抱える現代社会において、日常生活を整える指標となる。駒澤大学の“今”を紹介する3回連載の第1回のテーマは「禅×食事」。禅宗における食への姿勢を通して、持続可能な現代社会の食の在り方を考える。
駒澤大学
仏教学部 禅学科
晴山俊英教授
仏教学部 禅学科
晴山俊英教授
禅宗では、食事を作ること、食事を取ることは、坐禅することと同様に大切な修行であると考えられている。その考えを日本に広めたのは、鎌倉時代に曹洞宗の教えを伝えた道元禅師。仏法にかなうように食事を作り、作法を守って食事を取ることが、禅の修行になると考えた。食事を通して、修行、つまり仏の生き方を実践することを提唱したのである。
「道元禅師は京都で生まれ、比叡山延暦寺で出家し、24歳のときに仏教の本場である中国に留学しました。その中国で修行僧の食事を準備する老僧に出会い、食事作りは禅の大切な修行であると気付きます。それまで食を軽んじていた道元禅師は感銘を受け、帰国後にその教えを『典座教訓(てんぞきょうくん)』『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』にまとめたのです」。こう説明するのは、道元禅師が提示する戒律に詳しい駒澤大学仏教学部の晴山俊英(はれやましゅんえい)教授である。