食事を通して
体だけでなく心を育てる
禅宗では食事は重要な修行の一つ。食事中は私語を慎むなど、長い時間をかけて丁寧に、ゆっくりと行じられる
道元禅師は、食事が単に体を養うためでなく、食事という行為を仏道の実践という次元にまで高めた。食事が体を養うだけでなく、心を育てるという考えは、現代のわれわれの食生活においてもいえることだ。時間に追われ、外食やレトルト食品に頼ることが増え、ゆっくりと食事を作り食べるということが損なわれると、心の病も増える可能性がある。
食材のおいしさを引き出す『典座教訓』や、作法にのっとって食事を楽しむ『赴粥飯法』は、すでに鎌倉時代に道元禅師が実践していた、現代のSDGsにもつながる持続可能な食生活ではなかったか。晴山教授は、現代人にこうアドバイスする。
「コロナ禍で“黙食”が問題になっています。しかし禅の食事作法からいえば、黙食は当たり前のことです。音を立てず、一人一人が黙って食に向き合う。黙食が必要な場面になったら、道元禅師の教えを思い出しながら、食とゆっくり向き合ってみてはどうでしょう。禅でいう『修行』とは、何か特別なことを行うのではなく、毎日をつつがなく過ごすための、弛(たゆ)まない努力を重ねていくことが本質にあります。他人の人生ではない、自分の人生を、丁寧に生きることの大切さに気付くはずです」
また、禅文化歴史博物館では、不定期ではあるが、実践セミナーを開催し、禅の食事作法を学ぶ機会を設けている。
駒澤大学の駒沢キャンパス内にある禅文化歴史博物館(写真)では、展鉢のレプリカを展示
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