日本語に強く、多様な種類のデータベースに対応
同社が大企業や官公庁の絶大な信頼を獲得している秘密は、日本の企業に合った幾つものデータベース関連の製品・サービスを独自に開発し、実装や活用までをトータルに支援してきた技術力の高さにある。
インサイトテクノロジーは1995年、データベース関連製品の世界的企業で働いていた3人の日本人エンジニアが設立。現在に比べれば処理速度が遅かったデータベースの性能を最大限に引き出す「Performance Insight」(パフォーマンスインサイト、すでに販売終了)という製品をリリースし、1万ライセンス以上を販売するヒットを飛ばして注目を集めた。
04年には、社員によるデータベースへのアクセス状況を監視する「PISO」(ピソ)を発表。その後も、データベース製品の変更やバージョンアップの際にSQLの互換性を評価する「Insight Database Testing」(インサイトデータベーステスティング)、データに含まれる個人情報などの機密情報を抽出し、秘匿化(マスキング)する「Insight Data Masking」(インサイトデータマスキング)など、多彩な製品・サービスを送り出してきた。
「データベース周りの製品に特化し、時代のニーズに応えながら30年近くにわたって最新技術を徹底追求してきたのが何よりの強みです。エンジニアたちは、いずれもデータベースに関する高度な知識と技術を持ち、新たな製品作りやより良いサービス提供のため、常に研さんを重ねています」と語るのは、「先進的技術者集団」を束ねる同社の宮地敬史CTO(Chief Technical Officer)コンサルティング本部長である。
宮地敬史
CTO コンサルティング本部長
DBスペシャリスト。 OracleをはじめマルチDB・クラウドに深い知見を持つ。プロフェッショナルサービス責任者。
常に最新のテクノロジーを追求し続ける同社は、AIによる機械学習の応用などにも積極的に取り組んでいる。
「例えば『Insight Data Masking』は、膨大なデータの中から、『守らなければならないのはどのデータなのか?』を機械学習して、氏名や住所、電話番号といった特定のデータだけをマスキング処理します。この処理を施すことで、セキュリティーを担保しつつ、個人のデータを利活用できる環境が実現するわけです」(宮地CTO)
また、同社の「Insight Governor」(インサイトガバナー)というソリューションに搭載される「Insight Catalog」(インサイト カタログ)という製品は、社内外に散在するデータを内容ごとに分類して自動的にタグ付けするものだが、この仕組みにもAIによる機械学習が応用されている。
日本企業向けにこれらの製品を提供する場合、日本語による機械学習ができることが不可欠である。「インサイトテクノロジーは日本発のテック企業なので、海外から輸入したものも含め、全ての製品・サービスが日本語に対応しています。そうした利便性の高さや安心感も、多くの大手企業や官公庁に採用いただいている理由の一つだと思います」と宮地CTOは語る。
もう一つ、同社が他のベンダーと大きく異なるのは、あらゆる種類のデータベースに対応する製品・サービスをそろえていることだ。
「一般的なデータベース関連製品は、特定メーカーのデータベースやクラウドサービスだけに対応するものがほとんどですが、当社はメーカーやプロバイダーを問いません。エンジニアも、あらゆる種類のデータベースに精通する人材がそろっているので、いかなる課題にも適切かつ柔軟に対応できます」(宮地CTO)