人物重視の企業が面接で見る五つのポイント

 採用選考では人物重視を採用基準として、面接に力を入れる企業が増えた。新井社長は就活生に対し、面接では「志望動機と自己PRが全て」と教えている。

「企業はその二つを通して、企業のカルチャーに合っているか、業務を遂行する能力を持っているかを見ているのです。先ほどの軸がしっかりしていれば、志望動機には高い評価が付くでしょう」

 では、自己PRではどこを見るのか。新井社長は「五つのポイント」を挙げる。

「それはFV(成長可能性)、IQ(頭脳明晰さ)、EQ(人間的魅力)、CV(客観的経歴)、AQ(タフさ)です。FVはその人の成長可能性、IQは地頭の良さ、EQは人間的な魅力、CVはその人がどんな学生生活を送ってきたのか。AQはすぐに辞めるリスクを避けるために重視するのです」

企業が自己PRでチェックする五つのポイント
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 五つのポイントのうち、就活生が勘違いしやすいのはCV(客観的経歴)だ。「陸上の短距離走で全国大会に出て入賞しました」「バイトリーダーとして店を任されていました」というように結果をアピールすれば高評価が得られると思い込む。確かに結果は立派だが、「企業が知りたいのは、全国大会に出場するという目標を達成するために積み重ねた努力、バイトリーダーとして何を考え実行して店を運営したのかという道のりの部分です」と新井社長。なぜなら、速く走れてもあまり仕事の役には立たないけれど、目標達成のために積み重ねた努力には再現性があるからだ。

就活生を持つ親ができることは就活を支援する「環境」の提供

 このような最新の就活事情を聞くと、親世代が就活生だった頃に身に付けた就活テクニックはほとんど通用しないことが分かる。では、親は何をすべきなのか。新井社長は、就活を支援する「環境」の提供だと言う。

 新井社長の表現を借りれば、まず「就活の地図」を広げて就活の全体像を見せる。社会経験の浅い子どもに、就活スケジュールや就職活動がどういう原理で動いていて、マーケットがどうなっているかをインストールするわけだ。続いて、「やりたいことを見つける」ためのサポートをする。就職活動では方向を決めて進むことが重要だ。やりたい業界の分析、企業の分析には相応の知識や経験が必要となる。親の社会経験も活かせるかもしれない。そうやって子どもにキャリアを描かせ、キャリアを実現するには何をすればいいのかを逆算していく。それだけで、ESを乱発していた子どもは見違えるようになるはずだ。

 ただ有名企業を狙う就活生は、それだけでは十分な環境の提供とはいえない。万全を期すなら大学受験同様に就活でも塾のような存在を頼った方がいい。学生にとっての本当のゴールは大学入試ではなく、入社試験とそこから始まる社会人生活だからだ。