ラックは情報セキュリティー分野のリーディング企業として、セキュリティー対策ソリューションを提供している。中でも今、力を入れているのが金融犯罪ゼロを目標にしたAI技術の開発だ。AI最先端研究、AI開発、金融犯罪分析それぞれの第一人者がAI技術開発の今を語る。

 特殊詐欺の2021年の認知件数は約1万4500件、総被害額は、約282億円に上る(警察庁調べ)。中でも、公共機関や金融機関の職員を装って電話をかけてキャッシュカードをだまし取ったり、ATMから送金させたりする手口は増加傾向にある。金融機関側には犯罪を未然に防ぐ対策が求められている。

たしかなテクノロジーで
「信じられる社会」を築くという使命達成を目指す。
ラック イノベーション開発グループ
ザナシル アマルマネジャー

 ラックのイノベーション開発グループのザナシル・アマルマネジャーは、同社のAI開発の姿勢をこう語る。

「当社のパーパス(存在意義)は、“たしかなテクノロジーで「信じられる社会」を築く。”です。当社は高度なセキュリティー技術を使ってシステム開発を行い、社会を守って参りました。私たちのグループでは、日本ディープラーニング協会のE(エンジニア)資格を取得している技術者集団が、セキュリティー技術に最新のAI技術を融合させた『セキュリティー技術×AI』によるプロダクトを開発し、使命達成を目指しています」

 特にラックのAI技術が強みを発揮する分野が不正取引の検知だ。三菱UFJ銀行との不正取引検知の共同実験では、94%という高い検知率を達成した。現在多くの金融機関で使われている既存の検知システムの検知率は60%程度だから、94%という検知率のすごさが分かる。