大和リースという社名を聞くと、建物や設備のリーシングを事業の柱とする会社をイメージするが、実は「リース」は事業のごく一部。全国の土地を活用し、建築、商業施設の運営、公園管理など多彩なノウハウを組み合わせて、まちをデザインできる総合力こそが大きな強みだ。
北 哲弥代表取締役社長
社会のニーズに合わせて多種多様な建築物をスピーディーに建設したり、ショッピングセンターをプロデュースしたり、テクノロジーを駆使した最新設備をリースしたり、オフィスやまちを緑化したり……。
大和リースは、「規格建築事業」「流通建築リース事業」「リーシング ソリューション事業」「環境緑化事業」の四つの事業を柱に、まちづくりにつながるさまざまな事業を創出する企業だ。
中でも、行政や地域と連携した「官民連携(PPP=Public Private Partnership)」のプロジェクトには、同社の強みがよく表れている。
代表例が、2022年4月にオープンした三重県桑名市の「桑名福祉ヴィレッジ」だ。「民間提案制度」を活用し、大和リースと桑名市社会福祉協議会の提案で実現したプロジェクトで、これまで市内に点在していた養護老人ホームや保育所、母子生活支援施設などの福祉施設を集約。公民館や店舗、緑豊かな公園も組み合わせて整備し、住民サービスの向上と、まちの魅力アップを両立させた。建物の建築、緑地の設計、福祉車両のリースなど、大和リースの4事業全てのノウハウが活用されている。
富山市の中心市街地に20年に整備された、医療、福祉、健康の複合拠点「総曲輪(そうがわ)レガートスクエア」や、19年に滋賀県大津市の競輪場の跡地が緑豊かな公園と商業施設に生まれ変わった「ブランチ大津京」も、大和リースが中心的に関わった事例だ。こうした官民連携の実績は、すでに1000例以上に上る。
「地方自治体は基本的に単年度予算で、未来を見据えた大規模投資が難しい。そこで、初期投資を大和リースが担い、割賦やリースを活用したさまざまなスキームを提案しています」と北哲弥社長。「大和リースが手掛けたプロジェクトで、地域の福祉が向上したり、住民の交流が活性化したり、地域が良くなる手応えがあることが大きなやりがいです。大和ハウスグループの創業者、石橋信夫は、『何をやったら儲かるかではなく、これからの人々が何を必要としているかで事業を創造せよ』という言葉を残しています」。