障がいのある人が
生き生きと長く
働ける会社をつくる

ニッセイ・ニュークリエーション
余部信也
代表取締役社長

 NNCの余部(あまべ)信也社長は、特例子会社設立の目的をこう語る。「経営基本理念に『障がいのある人が能力を発揮できる強い職場づくりを通じて、継続的に雇用をすすめる』とあるように、障がいのある人が生き生きと長く働ける会社をつくることが目的でした。そこが仕事のために人を雇う一般企業と違うところです」。余部社長はNNCを経営する上で、三つのポイントを重視している。一つ目は、障がいのある人に合わせた仕事を作ること。二つ目は、障がいのある人が働きやすい環境をハード(建物など)とソフト(制度や規程など)の両面で実現すること。三つ目は、創業以来培われてきた「文化風土」を守り高めること。

 三つ目の文化風土とはどのようなものか。車いすを使うNNCの中島信弘・業務第一部部次長が説明する。「当社は障がいのある社員が主役ですから、その障がいに甘えないことと、自分のやれることは自分でやることという二つの柱=文化風土があります。二つの柱を支えるために委員会活動、業務のカイゼン個人活動が活発に行われ、『NNCクレド(行動指針)』には文化風土を理解しやすいように言葉で表されています」。

 委員会活動は全員参加で会社運営の一部を担う活動だ。創業当初、社員同士のコミュニケーションを円滑にしたいという思いから自主的に手話委員会が立ち上がり、現在では43の委員会が活動している。

NNCクレドは具体的な行動の指針を「言葉」に表し、朝礼や会議の冒頭で唱和している
43の委員会が活動中。社外交流・発展、社内情報発信、社内環境整備などに分類される。写真右「ボッチャ普及委員会」が主催するボッチャ大会。左「危機管理委員会」が主催する防災訓練

 業務改善活動は、障がい特性に対するサポートや自身の苦手な領域を克服する工夫だ。例えば、手に障がいのある人が片手で書類をそろえてとじることができるツールを考案したところ仕事の効率と質が大きく向上した。

 NNCクレドは中島部次長と社員の考案によって2021年度に制定された。「お客様へ」「仲間へ」「地域・社会へ」「自分自身へ」の四つの約束が掲げられており、「社員の心のよりどころになってほしいという願いを込めています」(中島部次長)。