30年間で蓄積した
知見を社会に生かす

障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指すニッセイ・ニュークリエーション
中島信弘
業務第一部 部次長

 もちろん、本来の業務にも働きがいを感じられる工夫がある。NNCの事業は印刷事業から始まり、保険事務代行が加わった。現在は9割が事務代行だ。

「事務の仕事には均質性と効率性が求められますが、障がいのある人は得手不得手があるので、1人ではやり遂げられないことがあります。そのときはチームを組んで工程を分解し、協力体制を築いて完成させます。このような工夫により達成感が得られ、それが自己肯定感を高め、自己実現につながります」(余部社長)

 22年度から新しい事業として、日本生命本店(大阪)内の社内売店(コンビニエンス・ストア)運営とクラフト事業が加わった。社内売店は筆談などで接客を行う「サイニングストア」。物販と接客という、事務とは異なる業務を用意することで社員の可能性を広げることが目的。もう一つ、クラフト事業はより障がいの重い人が働ける職務の開発を通じて積極的に社会的責任を果たすという発想による。

 NNCは23年に創業30周年を迎える。

 障がい者雇用の先駆者であるNNCが蓄積してきた知見は、多くの企業の障がい者雇用を前進させる力となる。

障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指すカイゼン活動には個人とグループ活動があり、 優秀な案は月間表彰、年間表彰される
障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指す仕事は日本生命の保険関係事務の代行業務と 印刷物の印刷・製本業務が中心

NNC社員の可能性を広げる
新しい二つの試み

 2022年5月から大阪にある日本生命本店東館で、聴覚に障がいのあるNNC社員を中心とした社内売店(コンビニエンス・ストア)の運営が始まった。NNC社員の活躍の場が広がるとともに、日本生命本店の福利厚生の充実、インクルージョン推進に役立っている。また、7月には大阪市鶴見区に新事業所「はなてん工房」が開所した。より障がいの重い人たちが手すき紙の製作を行っている。完成した手すき紙は日生グループの表彰状などに活用される予定だ。

障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指す来店客とのやりとりはカードを指さして行う。店頭のボードなどを通じて日生の職員が手話を学ぶこともできる
障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指す企業から提供された規格外の紙パックの原材料加工から紙すき、吸脱水、乾燥を行い手すき紙を製作する
障がいのある人が「自己実現」できる職場を目指す

日本生命は1988年にCI(コーポレートアイデンティティー)を導入してコーポレートマーク「センチュリークリスタル」を制定。左の赤色は日本生命、右の黄色はニッセイ・ニュークリエーションを表す

●問い合わせ先
日本生命保険相互会社
〒541-8501 大阪府大阪市中央区今橋3-5-12
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