「三位一体」の精神で
顧客ファーストを実践
TOKの事業は、エレクトロニクス機能材料と高純度化学薬品を供給する「材料事業」が中心。その高い技術力は、経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選ばれたことでも証明されている。顧客は、日本はもちろん、世界の半導体製造拠点である台湾、韓国、米国、欧州、中国などに広がり、海外売上高比率は78.8%に達する。
TOKの業績は順調で、この3年間を振り返っても売上高は右肩上がり。その原動力となっているのが、営業部門、製造部門、開発部門の各人材が「三位一体」となって顧客のために考えて行動して達成する顧客密着戦略だ。
TOKの成長の原動力となっている半導体需要は「今後も増え続ける」と種市社長は自信を見せる。SDGsの目標年でもある2030年までを見通しても、「脱炭素化を推進し、持続可能な社会をつくるため、半導体の応用分野が広がることは明らかです」。例を挙げれば、高性能化するスマートフォンやゲーム機、多様な働き方を実現するリモートワークには半導体が欠かせない。また5Gの普及による通信革命は、日常生活を一変させる。その主役となるメタバース(仮想空間)、自動運転、空飛ぶクルマなどは半導体なくしては実現できず、そこにはTOKの製品が大きく貢献している。
最新設備の研究棟やオープンイノベーション施設があるTOKの研究開発拠点である相模事業所(神奈川県)。茅ケ崎駅からバスで20分ほどの場所にある
一方で、種市社長は将来を見据え、「新規事業創出による事業ポートフォリオを拡大」にも力を入れている。得意の微細加工技術、高純度化技術を生かし、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)機器に欠かせない光学部材、機能性フィルムのような機能性部材、バイオチップ材料のようなライフサイエンス関連材料といった半導体分野以外のジャンルにも進出する計画だ。