特許の取得と
売り上げの関係
正林所長は、その一例として、ペッパーフードサービス(「いきなり!ステーキ」を運営)における特許の取得と売り上げの関係を指摘する。同社は、2014年6月に「ステーキの提供システム」のビジネスモデル特許を出願して話題になった(下図:特許B)。
いきなり!ステーキでは、肉をカットする店舗スタッフに、来客者自身が希望するグラム数を告げる。店舗スタッフはこれを聞いて肉をカットして調理場に回し、焼き上がった肉は客のテーブルに届けられる。この際、カットした肉にテーブル番号を印字したシールを付け、調理場に回す。同社は、肉の取り違えを防ぐためのこの方法を、特許として請求したのだ(16年6月に特許として登録)。
「ペッパーフードサービスにとって、その特許はまさに『見えない資産』でした。お客さまにステーキを早く確実に配膳できるシステムは、サービスの向上と同時に店舗の作業性を良くするシステムであり、そのおかげで売り上げを急速に伸ばしたのです。
同社はそれ以前に、肉を加熱する方法でも特許を取り(上図:特許A)売り上げを伸ばしていました。二つの特許が事業拡大のエンジンになった。つまり『見えない資産』が同社の売り上げに多大な貢献をしたのです。ブランドでもそうですが、一般的にBSに載らない『見えない資産』にあぐらをかきはじめると、売り上げは減っていきます。
いつの時代もお客さまは進化するものです。そのお客さまの進化に合わせてサービスも進化しなければならない。アイデアを出し続け、『見えない資産』を増やしながらマネタイズする方法を取るべきなのです」と正林所長は語る。