「資本主義」ではなく
「知本主義」

 ベンチャー企業に多く見られるパターンとして、とがった部分がいつの間にか消えてしまうことがある。「見えない資産」とは、その企業における個性であり、長所である。すぐには役立たないこともあるが、アイデアは次々と特許として取得し、それを知的財産としてきちんと管理しマネタイズしていくことで、企業は着実に成長していくのだ。

 一般的な経営戦略は「見える資産」を増やしてPLを拡大することにある。「見える資産」である設備の投資を行い生産量を増やしていくという戦略だ。

 一方の知的資産経営の経営戦略は「見えない資産」(知産)を増やしてPLを拡大すること。優秀な人材の確保や新たな技術開発などがポイントになる。

「ところが企業というのは不思議なもので、規模が大きくなると『見える資産』を増やしてPLを拡大しようとする。つまりノーマルな企業になろうとします。周りのコンサルタントも、そうアドバイスすることが多い。そうすると、せっかくのとがった部分を失ってしまう。その企業の持つ長所、『見えない資産』を伸ばしていく方が大切なのです」と正林所長は指摘する。

「見えない資産」における知財戦略のキーワードとして、正林所長は「知本主義」を掲げる。資本を「知本」、資材(財)を「知財」、資産を「知産」と捉えて経営を行うのだ。

 知財という「見えない資産」の活用法に気付くことができれば、新たな売り上げを上げることができ、新しいビジネスモデルを発見できる。特許を取ることは、もう一度自社の強みを確認することにもなる。エッジが利いた「見えない資産」をコアコンピタンスと考えて経営をしていくことが、知的財産経営の第一歩になる。

「どのような企業にも、自分たちが気付いていない見えない価値があります。私たちはそれを発見するお手伝いをして、戦略を立てマネタイズしていきます。企業の価値を『見える化』させる手段こそが特許出願であり、それが知財戦略のベースになるのです」

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